文献情報
文献番号
200501412A
報告書区分
総括
研究課題名
インフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H17-特別-059
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
横田 俊平(横浜市立大学医学部小児科)
研究分担者(所属機関)
- 森島 恒雄(岡山大学小児医科学)
- 藤田 利治(国立公衆衛生院疫学部疫学情報室)
- 森 雅亮(横浜市立大学大学院医学研究科)
- 奥村 彰久(名古屋大学大学院医学研究科)
- 鈴木 宏(新潟大学国際感染症学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
インフルエンザは種々の随伴症状を伴う疾患で、わが国では乳幼児に脳症を発症することが大きな問題になっている。このような乳幼児では発熱後けいれん、意識障害に至る間に特有の異常行動・言動が認められていたが、インフルエンザ脳症の前駆症状か、それともインフルエンザの一般的な随伴症状であるのか、あるいは治療に使用した薬剤の影響が拘わっているのかなど、不明な点も多い。そこで全国12都県の小児科医師に対して調査票の集計後統計学的解析を行い、インフルエンザ随伴症状について疫学的見地よりインフルエンザあるいは薬剤との関連性を検討した。
研究方法
全国12都県の小児科医師に対して「医師用調査票」と「患者・家族用調査票」を用意し、インフルエンザ経過中に生じた臨床症状、使用した薬剤、それぞれの経過などについて記載を依頼し調査票の集計後統計学的解析を行った。
結果と考察
随伴症状の発現時期は発熱第1~2病日に92%が集中しており、薬剤使用もアセトアミノフェンは第1~2病日に95.4%、タミフルは91.8%を使用していた。薬剤使用状況と臨床症状との関連性について検討したところ、タミフルと異常言動との関連性はタミフル未使用での発現頻度は10.6%であったのに対し、タミフル使用では11.9%と有意差を認めなかった。なお、同じ期間に異常言動発現とタミフル使用があった場合に、異常言動発現前にタミフルを使用したと仮定した場合のハザード比は1.16で、p値0.259で有意差はなく、一方、異常言動発現後にタミフル使用したと仮定した場合のハザード比は0.90であり、p値0.463でやはり有意差は認められなかった。肺炎合併についてみると、タミフル未使用の累積発生率は3.1%、タミフル使用では0.7%であり、また肺炎はタミフル使用前に併発したと仮定した場合のハザード比0.24(p値<0.0001)、使用後に併発したと仮定した場合には0.20(p 値<0.0001)で、いずれの場合でもタミフルは肺炎を抑制していた。次シーズンにおいて随伴症状と薬剤使用との時間的関係をより詳細に検討する調査が必要である。
結論
今回の解析では、約2,500例の症例について、医師側からと患者・家族側の双方から、調査が実施できた。異常言動の出現率は従来の報告と比較して10%と非常に高い値を示した。異常言動の定義および内容に曖昧な点があり、また昨年末よりメディアを中心にインフルエンザの異常言動についての報道が繰り返されてきたために、過剰に報告された可能性がある。結論は来年度以降の調査の結果に持ち越しとしたい。
公開日・更新日
公開日
2010-10-26
更新日
-