諸外国における石綿ばく露と健康障害発症リスクに関する調査研究

文献情報

文献番号
200501406A
報告書区分
総括
研究課題名
諸外国における石綿ばく露と健康障害発症リスクに関する調査研究
課題番号
H17-特別-061
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 謙(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 東 敏昭(産業医科大学 産業生態科学研究所 作業病態学研究室)
  • 大瀧 慈(広島大学原爆放射線医科学研究所)
  • 寶珠山 務(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室 )
  • 林 若ティン(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室 )
  • 井手 玲子(産業医科大学 産業生態科学研究所 臨床疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本課題では、1)諸外国とわが国における石綿ばく露と健康障害発症リスクに関して、既存の疫学的知見を整理し、データベース(DB)化するとともに、2)新知見を創出することを最終目的とする。
研究方法
1)DBとしては、PUBMED検索により抽出された文献を中心に、書籍・報告書・ウェブ情報を組み合わせて統合化し、更新可能なDB基盤を構築する。2)新知見創出としては、世界各国における石綿関連疾患(ARD)の死亡に関する国別実態を集計した。報告書内集計表としては国別・年別に総死亡数を示し、保有DBには性別・5歳階級別として登録し、別途入手した国別・性別・5歳階級別・年代別の人口データと組み合わせて算出した、ARDの国別死亡率(粗率・年齢調整死亡率)データとして登録した。要因側では国段階データとして国別・年代別の石綿使用量のデータを米国地質学調査(USGS)と別途入手した国別・年代別の人口データと組み合わせ、国別・年代別の国民一人当たり石綿使用量として集計した。これらから、世界各国における1960年代の歴史的石綿使用量と直近の石綿関連疾患の死亡率の間の生態学的関連を評価した。
結果と考察
1)DB基盤を構築した。2)グローバルデータを用いた解析の結果、1960年代の歴史的石綿使用量と直近の石綿関連疾患の死亡率の間の生態学的関連として強い相関があることを示した。回帰式に基づき単位石綿使用量当たりのリスクの大きさを定量的に評価し、男性中皮腫での石綿使用量の説明率は74%(p<0.001)、単位石綿使用量当たり2.4倍のリスク上昇、男性石綿肺症での説明率79%(p<0.001)、単位石綿使用量当たり2.7倍のリスク上昇、など合理的な結果を得た(Lancet受理)。
結論
1)DB構築では現段階で6,158の文献・情報をCD-ROMに収載した。優先順位の高い課題を5項目・14点に集約し、知見の要約を行った(報告書へ記載)。知見の総体としては批判的総説となるよう新規課題の設定と合わせ、今後内容を充実していく。2)新知見の創出では、グローバルデータに基づき、歴史的石綿使用量と直近の石綿関連疾患死亡の間の強い関連を示した。過去の石綿消費量の多いわが国においては、近く達成する石綿全面禁止措置を踏まえ、既存石綿へのばく露防止の徹底と今後の関連疾患発生の増大を見込んだ対策が必要である。

公開日・更新日

公開日
2015-06-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501406C