文献情報
文献番号
200501404A
報告書区分
総括
研究課題名
麻疹・風疹の予防接種率とワクチンの需要に関する調査研究
課題番号
H17-特別-058
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
岡部 信彦(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
- 大日康史(国立感染症研究所 感染症情報センター)
- 後藤励(甲南大学経済学部)
- 打田委千弘(愛知大学経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
16,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
厚生労働省は平成17年7月29日に予防接種法施行令等を一部改正した。それに伴い制度が切り替わる以前に駆け込み的に単味ワクチンの接種率が増加すると予想される。本研究では、その予測を行ない、また自治体側の取り組み、費用対効果分析もあわせて総合的に今回の制度改正を評価する。
研究方法
需要予測のための一般市民への調査は2005年12月と2006年2月に行った。第一回調査は郵送法、第2回調査はインターネットを用いた。また、自治体調査を2006年2月に行った。費用対効果分析は、麻疹に関してのみ、単味ワクチンから麻疹風疹混合ワクチンの2回接種に移行した際の医療経済学的評価を行う。その際の医療費等の必要な情報は既存文献から引用する。
結果と考察
第一回調査では1249名、第2回調査で10123名を分析対象とした。麻疹・風疹に関しては接種率や意識等で両者に大きな差はなかった。2006年3月までの定期接種対象者である同月までに12ヶ月以上90ヶ月未満である者の内、罹患もせずまた予防接種も受けていない者は、麻疹で5-6%、風疹で15-16%であった。この内、3月までに単味ワクチンの接種を希望する者は麻疹で17.2万人、風疹で35.8万人と推測された。日本脳炎に関しては、7歳半の段階での累積接種率は、第一期1,2回、追加でそれぞれ4、21、3%、標準接種年齢ではほぼ0であると予測された。自治体調査では、約8割の自治体で、2006年度以降も一定の条件下で、麻疹・風疹の単抗原ワクチンの接種を定期接種と同等に扱うことを予定していた。費用対効果分析では、麻疹風疹混合ワクチン2回接種の導入により単味ワクチン一回接種よりも社会が豊かになることが示された。
結論
麻疹・風疹の予防接種の制度改正に伴い、特に風疹の単味ワクチンに関して2005年12月時点では接種率は向上していないが、3月に急激に向上することが、予測された。このような制度改正に伴うワクチン不足あるいは過剰在庫の問題を回避するために数次にわたる調査を実施し、予測をだし、より正確な予測を得る作業が、予防接種施策にとって非常に重要であることが強く示唆された。また、自治体間での情報共有の場として調査研究、還元の必要性が強く示唆された。さらにそもそも制度改正を行う判断材料の一つとして医療経済学的な費用対効果分析が行われることが望ましいことが示唆された。
公開日・更新日
公開日
2009-07-24
更新日
-