献血血液のウエストナイルウイルス・スクリーニング法に関する研究

文献情報

文献番号
200501403A
報告書区分
総括
研究課題名
献血血液のウエストナイルウイルス・スクリーニング法に関する研究
課題番号
H17-特別-057
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山口 一成(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 水上 拓郎(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
  • 高崎 智彦(国立感染症研究所 ウイルス1部)
  • 日野 学(日本赤十字社 血液事業本部 )
  • 柚木 久雄(日本赤十字社 中央血液研究所 核酸増幅検査部)
  • 三根 英子(日本赤十字社 血液管理センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 ウエストナイル熱・脳炎はウエストナイルウイルス(WNV)が原因で引き起こされるウイルス感染症で、アフリカや西アジア、中東、ヨーロッパ等で流行し、1999年は米国において初めて認められ以来、2002年には患者数にして4,000人以上、死亡例として277例を数える大流行となった。さらに輸血による感染、臓器移植による感染などの死亡例が数十名に及んだことから、米国では血液のWNV NATスクリーニングが開始された。一方、本邦では米国で感染した患者の帰国後発症例があるものの、国内での感染例は報告されていない。しかし、米国のみならずロシアでもWNVの蔓延が報告されていることから、同ウイルスが本邦に輸入される危険性は高く、WNV NATスクリーニングの必要となる事態に即応できるよう、準備しておくことが急務である。そこで本研究課題では、米国で使われているChiron社のWNV NATスクリーニング法(Procleix(R) WNV Assay)の機器・試薬を入手し、その特異性、感度、実用性等について検討する事を目的とした。
研究方法
 NAT機器として米国で使われているChiron社のWNV NATスクリーニング法(Procleix(R) WNV Assay)の機器・試薬を用いた。まず、日本赤十字社のNAT検査合格(HIV, HBV, HCV陰性)の血漿からRNAを抽出し、RealtimePCR法によってWNV陰性を確認した。この血漿にウエストナイルウイルス(NY99株、g2266株)、 日本脳炎ウイルス(Beijing-1株)、 デングウイルス(1, 2, 3, 4血清型)を1000pfu~0.001pfu/mLの範囲で添加し、メーカーの指定する方法に準じてNAT検査を行った。
結果と考察
 その結果、WNVのNY99株は、1000から0.05pfu/mLまで、g2266株は1000から0.005pfu/mLまでを100%検出する事ができた。デングウイルスについては4つの血清型ともに交差性は認められなかったが、日本脳炎ウイルスにおいては1000 pfu/mLという非常に高いウイルス量で陽性となった。
結論
 以上の結果より、Procleix(R) WNV Assayは日本においてもWNV スクリーニングにおいて有効に機能する事が明らかとなった。この一連の研究により、ウエストナイルウイルスの感染が日本で認められた場合の迅速な対応が、国立感染症研究所、日本赤十字社で連携して可能となった。

公開日・更新日

公開日
2009-07-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-11-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501403C

成果

専門的・学術的観点からの成果
献血血液におけるWNVスクリーニングを行った結果、WNVのNY99株は、1000から0.05pfu/mLまで、g2266株は1000から0.005pfu/mLまでを100%検出する事ができた。デングウイルスについては4つの血清型ともに交差性は認められなかった。日本脳炎ウイルスにおいては1000 pfu/mLという非常に高いウイルス量で陽性となった。以上の結果より、Procleix(R) WNV Assayは日本においてもWNV スクリーニングにおいて有効に機能する事が明らかとなった。
臨床的観点からの成果
これらの研究により、Procleix(R) WNV Assayは日本においてもWNV スクリーニングにおいて有効に機能する事が明らかとなった。この一連の研究により、ウエストナイルウイルスの感染が日本で認められた場合の献血血液の安全性に関わる迅速な対応が、国立感染症研究所、日本赤十字社で連携して可能となった。これによって献血血液を介したウイルストナイルウイルスの感染リスクを低減する事が可能となった。
ガイドライン等の開発
 これらの一連の研究により、ウエストナイルウイルスの感染が日本で認められた場合の献血血液の安全性に関わる迅速な対応が、厚生労働省、国立感染症研究所、日本赤十字社で連携して可能となった。
その他行政的観点からの成果
 これらの一連の研究により、ウエストナイルウイルスの感染が日本で認められた場合の献血血液の安全性に関わる迅速な対応が、厚生労働省、国立感染症研究所、日本赤十字社で連携して可能となった。
その他のインパクト
 日本における献血血液のWNVウイルスのスクリーニング法が確立した事は、緊急時の対応の観点から非常に価値が高いと言える。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-17
更新日
-