諸外国における歯科認定医制度・専門医制度に関する研究

文献情報

文献番号
199700009A
報告書区分
総括
研究課題名
諸外国における歯科認定医制度・専門医制度に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 毅(日本大学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生行政科学研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成9年8月に厚生省・与党医療保険制度改革協議会から公表された「21世紀の医療保険制度」「21世紀国民医療構想」においては、西暦2000年を目途とする医療情報の公開を推進する政策の一環として、かかりつけ歯科医師と医療機関の適切な選択が可能となるよう、専門分野などについての情報公開を推進するとしている。日本歯科医学会(14分科会)の臨床臨床系の 8分科会では、それぞれ専門分野での水準を設定した認定制度を設けており、その他にも準備中の学会がある。 今後、歯科医療における情報公開を推進するに当たっては、認定医制度の認定基準の統一化、専門標榜と患者への情報提供、かかりつけ歯科医師と専門認定医との機能分担などの組分けが要請されており、諸外国の状況を調査し、これを今後の基礎資料とする必要がある。
研究方法
1)調査項目(アンケ-ト用紙作成); 本研究は歯科の専門分科が進んだ背景から分担協力者がそれぞれの専門領域について、医療制度の分科と機能分担の進んだ諸外国における認定医、専門医の活動状況について情報を収集した。
2)調査対象国; 専門分科の進んだアメリカ合衆国を中心とし、ヨ-ロッパの主要先進国、すなわちイギリス、ドイツ、スエーデン、オランダ等についても調査した。
結果と考察
1)専門医・認定医の有無:
歯科の専門医および認定医制度は、アメリカ合衆国において一般歯科との機能分担が進んでおり、専門医(認定医)制度が構築されている。 またアメリカ合衆国の影響をうけている周辺諸国においては、程度は異なるが機能分担が行なわれている。 
一方西ヨ-ロッパ諸国では、一部の専門領域を除き、専門医制度としての明確な形は設定されていないが、大病院への紹介制度が確立されており、一般歯科医師と専門医の機能分担が有機的に機能している。
2)専門医・認定医の呼称:
アメリカ合衆国では、口腔顎顔面外科医(Oral and Maxillofacial Surgeon), 矯正歯科専門医(Orthodontist) 小児歯科専門医(Pediatric dentist) , 歯内療法専門医( Endo- dontist), 歯周療法専門医(periodontist), 補綴歯科専門医(Prosthodontist)などの専門呼称があり、specialistの看板を掲げ、診療を行っている。
これらの専門標榜を行っている多くの専門医の中から、規定の研修を履修し、試験に合格した者に資格審議会( Bord of Specialist) が専門医として高いレベルにあることを認定する(認定医・certificate)。 さらに相当の高いレベルの研修を積み、試験に合格した者には、多くは大学の教授クラスの者であるが指導医(Dipromate)と呼称することを認める専門学会が多い。 認定医及び指導医は専門領域における権威者として遇されるが専門標榜とは関係ない。 
ヨ-ロッパ諸国では、国によって異なるのでこれを包括して述べるのは難しいが、先進諸国では医療の診療体系が一般歯科と大学病院などの専門診療科に2局化しており、症例の難易度によって紹介・転医のシステムが確立している。 したがって専門医を称えて個人で診療する制度は、確立されていないと言えよう。
3)専門標榜(広告)の社会性--国の法的規制
我が国では、厚生大臣の政令で医科、歯科の各領域において標榜診療科目が整然と分けられ、歯科では「歯科」「矯正歯科」「小児歯科」「歯科口腔外科」の4科の標榜広告に規制されているが、これらは医師あるいは歯科医師の免許さえ取得していれば、誰でも標榜できる自由標榜であるということは、専門医制度の確立した諸外国においては理解されにくいことである。
4) 専門医・認定医の養成(教育制度・試験制度)について:
専門医の養成システムの整っているアメリカ合衆国では、主としてADAの認めた大学院コ-スを履修する方式をとっている。 すなわち専門医を志す者は、歯学部を卒業した後、まず歯科医師として数年間、一般歯科診療(GP)の経験を積み、その後に専門医の道を選択する。 専門医へのコ-スは大学院(または指導医のいる軍の専門診療科)に入学し(専門科目によって2~4年制と年限は異なるが、多くは2年間のコ-スが組まれており、その間に規定のカリキュラムの終了、専門の研究論文の提出、試験に合格する等の条件をパスしなければならない。 このようにして大学院あるいはその他の研修機関を卒業した者を専門医として登録する。
西ヨ-ロッパでも大学院または専門の医局に在籍し、所定のコ-スを終了した者を専門医として認定しているが、専門医の多くは大学診療科あるいは大型病院での専門診療に従事している。 しかし、国によっては、また専門科目(口腔外科、矯正歯科など)によっては個人開業の専門医として臨床に従事している者もいる。
口腔外科(口腔顎顔面外科)の場合、その特殊事情として歯科医師がこれを行うか、医師が行うか、あるいは医師・歯科医師両免許取得者が行うかは世界的な論議を経ている。5)専門医・認定医の数(歯科医師総数に占める比率)
複数分野の専門医の数を正確に補足するには資料が十分でないが、アメリカ合衆国の場合、各専門医の合計は歯科医師総数の 20 %程度と見られている。
アメリカ合衆国(口腔外科:7,600,矯正歯科:9,100,小児歯科:3,650,歯周療法科:6,100,歯内療法科:3,999,補綴歯科:1,280,/歯科医師数:153,346)ドイツ(矯正歯科:2,500),イギリス(口腔外科:270)スウェーデン(口腔外科 239,小児歯科169,歯周療法科:184, 歯内療法科:63,補綴歯科:170,/歯科医師数:13,107,日本(口腔外科:923,矯正歯科:1,590,小児歯科1,477,歯周療法科:498,歯内療法科/歯科保存学会:616,補綴歯科:1,454,口腔病理:81/歯科医師数:78,000)
結論
欧米先進国では一般診療にあたって専門性の高い診療行為や難症例などの治療担当は一般歯科医師から専門医へと紹介する密接な連携システムにより機能分担が確立されていることが明らかとされた。 とくにアメリカ合衆国では一般歯科医師と専門医との関係は、地域的あるいは個人的なつながりで連携がとられ、西ヨ-ロッパの多くの国々では大病院の専門医との間で機能分担がなされている。
専門医制度を有する歯科領域は、概ね口腔外科、矯正歯科、小児歯科、歯周療法科、歯内療法科、補綴歯科の6科であり(国により咬合機能科、歯科放射線科、歯科麻酔科、口腔病理科が加わる)、これら専門医の数は専門領域によって異なるが、専門医の総数を算定すると、歯科医師総数の約 20 %程度とみなされる。                                                      

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