治験コストに係る医療経済学研究

文献情報

文献番号
200501397A
報告書区分
総括
研究課題名
治験コストに係る医療経済学研究
課題番号
H17-特別-051
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
楠岡 英雄(独立行政法人 国立病院機構大阪医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 俊也(慶應義塾大学医学部)
  • 和泉 啓司郎(独立行政法人 国立病院機構本部)
  • 竹内 正弘(北里大学薬学部)
  • 中村 洋(慶應義塾大学経営管理研究科)
  • 山本 晴子(国立循環器病センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では治験の費用構造を解明することを目的とした。
研究方法
医療機関における治験のコストと依頼者側のコストの検討、コストを低減させるための方策について検討した。医療機関におけるコストについて人件費に関する検討を行った。7病院で、治験の依頼から終了までに発生する各種作業を時系列的に抽出し、各作業に関わる職種と人数、作業時間を推計し、人件費の総額を算出した。一方、治験依頼者のコストは、治験依頼者外に支払うコストと、治験依頼者内に支払うコストに区分されるが、各社の区分が異なり、一概に論ずることは困難であった。しかし、2004年、2005年に行われたアンケート調査のデータを利用し、支払総額等を実施施設の設立母体別等に分析した。上記のデータの解釈、並びに、今後追加すべき分析、治験のコストを低減化するために必要な施策等について検討を行った。施策の形成に関しては、治験環境の改善、医療機関と依頼者間での作業分担の明確化、規制の緩和等、幅広い視点からの検討を行った
結果と考察
医療機関での治験にかかる作業には固定部分と変動部分があること、固定部分は治験事務局・IRB事務局における事務作業の大半であり、治験関連作業工程の約3分の2を占めること、変動部分は治験課題により異なる工程と症例数に比例して増加する工程があるが、主として症例数に比例する工程であることが明らかとなった。また、症例数に比例する工程はCRCによる作業が多いため、CRCの人件費によっても変動することが明らかとなった。人件費単価は医師がCRCより2倍以上高かったが、業務量はCRCの方が多く、人件費に占める割合はCRC43%、医師36%であった。一方、依頼者側のアンケート調査から治験費用の内訳が明らかになった。実施率が低くなるほど平均症例単価が高くなる傾向が認められ、支払いが契約症例数に基づいて行われ、払い戻しが行われていないことが原因と推察された。これらの結果から、今後、治験の質を保ちつつ、費用を低減するための方策をさらに検討する必要が明らかとなった。
結論
本研究では、これまで得られていなかった、治験実施医療機関における治験に係わる人件費についての基礎的データが得られた。治験依頼者側のコストについても時系列的な変化や、実施医療機関の種別によるコストの特性が得られた。両者を組み合わせることにより、今後、治験の質を保ちつつ、費用を低減するための方策を具体的に検討する基盤ができたと考えられ、治験のコスト低減のための施策の作成に役立つものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2006-10-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501397C