国際保健における社会的健康決定因子の政策的意義に関する研究

文献情報

文献番号
200501393A
報告書区分
総括
研究課題名
国際保健における社会的健康決定因子の政策的意義に関する研究
課題番号
H17-特別-046
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 英樹(東京大学大学院医学系研究科医療経営政策学寄附講座)
研究分担者(所属機関)
  • 黒川 清(東京大学先端科学技術研究センター)
  • 川上 憲人(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 近藤 克則(日本福祉大学社会福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
1,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2005年3月、世界保健機関に「健康の社会的決定要因に関する委員会」(Commission for Social Determinants of Health, 以下CSDH)が設立された。社会疫学研究の世界的権威であるSir Marmotを議長としたこの活動に、分担研究者(黒川)は委員の一人として参画し、活動を支えている。本特別研究では、我が国でも近年蓄積されつつある「健康の社会的決定要因(以下SDH)」に関する社会疫学研究の成果を取りまとめ内外研究との比較を行うとともに、CSDH事務局との意見交換等を通じて、非欧米諸国における同概念の政策的意義について考察を深めるとともに、CSDHを通じた日本の国際保健政策への寄与のあり方について模索することを目的とした。
研究方法
CSDHの活動目標、現状の課題・今後の展望につき、Sir Marmotとロンドン事務局員と橋本、黒川が意見交換を行った。また世界保健機関ジュネーブ本部のCSDH事務局員にも取材し、日本に期待される貢献のあり方を模索した。CSDHの活動を支える科学的根拠を提示する上で社会疫学の知見が重視されている。そこで内外の社会疫学の研究動向について川上が、また近年特に注目されている社会関係資本につき近藤が、文献ならびに実証データをもとに取りまとめた。
結果と考察
CSDHは、健康の不平等を是正する観点から、社会疫学的知見の普及啓蒙・提言・政策立案支援などを行うために情報ネットワークを構築している。また、開発途上国を中心に年数回の会議を開催し、開催当時国との対話を通じた健康政策の展開を志向している。社会疫学の歴史的発展過程と、疫学研究としての特徴、近年の主要な研究テーマの知見については、詳細は報告書に譲る。CSDHが支援対象とするアジア・アフリカ・南米などの国々において、既知・新規のこれら科学的知見をいかに地域の文化・歴史・制度・政治状況にあわせてカスタマイズするかが問題となっている。そのために地域ネットワークを構築することが不可欠となっている。
結論
今後日本からのCSDHに対する貢献として、日本ならびにアジアにおける社会的健康決定因子に関する科学的根拠を取りまとめ、政策的基礎資料をアジア圏で共有できるよう図るとともに、そこからアジア的健康政策モデルの構築を進めるための協力体制を確立することなどが求められている。

公開日・更新日

公開日
2015-06-04
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501393C