総揮発性有機化合物(TVOC)に関する研究

文献情報

文献番号
200500128A
報告書区分
総括
研究課題名
総揮発性有機化合物(TVOC)に関する研究
課題番号
H17-特別-031
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
田辺 新一(早稲田大学 理工学部建築学科)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 耕一(国立保健医療科学院 建築衛生部)
  • 内山 巌雄(京都大学大学院工学研究科 都市環境工学専攻)
  • 安藤 正典(武蔵野大学 薬学部薬学科)
  • 神野 透人(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、厚生労働省シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会において、平成12年に公表された総揮発性有機化合物(Total Volatile Organic Compounds: TVOC)の空気質指針策定の考え方以降の知見を整理し、TVOC指針値の再検討に必要な基礎データを提供する目的とする。
研究方法
以下の項目に関しての研究を行った。
1)国際動向の調査
2)TVOCの定義と算出方法に関する検討
3)室内空気実態調査結果の検討
4)測定方法に関する検討
5)TVOCの健康影響に関する調査の検討
結果と考察
平成12年時点において、OECD加盟29ヶ国及び欧州委員会において、その多くはTVOCの導入については未定か若しくは予定がないということであった。また、EC合同研究センターのような国際機関においては、以前からTVOC策定方法の例について発表しておりその報告書が参考文献として提示されていることが多かった。一方、日本工業規格(JIS)の「JIS A1901 小形チャンバー法」においては、TVOCに関して定義が行われている。国内では平成12年度以降室内空気質に関する研究は大きく進展している。また、建材・施工剤においても厚生労働省シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会が発表した13の指針値物質以外の化学物質が代用として使用されることも多くなってきている。総揮発性有機化合物量(TVOC)が低ければ相対的なリスクは低くなると考えられ、我が国ではパブリックコメント等でTVOCの導入を強く求める意見も散見されている。
一方、厚生科学研究費田辺班の測定によれば、日本の伝統的な木造住宅において、TVOC暫定目標値400μg/m3を越える状況が見られ、個々の化学物質に関して重み付けを行っていないTVOCは同様の製品などの評価には良い指標にはなるが、科学的根拠(毒性評価等)に基づいたTVOC指針値設定には問題のあることも指摘されている。以上のように、TVOCの指針値に関する合理的な再検討を行うことは社会的に必要とされていることがわかった。
結論
本研究により、TVOCについての新たな知見を収集することによって、総合的な化学物質対策の基礎資料を取りまとめることが出来た。TVOCに関する国際動向の調査結果、TVOCの定義と算出方法に関する知見、室内空気実態調査結果の動向、簡易測定法の開発、健康影響に関する知見の整理などの成果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2006-05-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500128C