食用油の安全性に関する研究

文献情報

文献番号
200500122A
報告書区分
総括
研究課題名
食用油の安全性に関する研究
課題番号
H17-特別-038
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
永田 純一(独立行政法人国立健康・栄養研究所 食品保健機能プログラム)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
奥山らは、厚生労働科学研究「数種の食用油に含まれる微量有害因子に関する研究」を基に、平成17年5月、数種の食用油に関する健康危険情報を厚生労働省健康危機管理調整官へ通報した。彼らは健康危険情報の中で、日常的に使用されている数種の食用油(カノーラ油、オリーブ油、および食用加工精製油である硬化大豆油)が脳卒中易発症性ラットの寿命短縮をはじめとする様々な健康影響に関与することを指摘している。本研究では、国内外において汎用されている食用油や食用油に含まれる微量成分が健康に及ぼす影響、特に奥山らによって危険性が指摘された油脂の安全性に関する調査研究を行い客観的な評価・検討を行った。
研究方法
文献検索は、異なる3つのデータベース(Pub Med、STN Easy、JOIS Easy)を用いて行った。これらのデータベースにキーワードとして、人、健康被害、アレルギー、毒性またはなど健康被害に関与するキーワードと汎用性の高い食用油としてオリーブ油、コーン油、ヒマワリ油、大豆油、菜種油、カノーラ油、植物ステロール、綿実油、紅花油、パーム油とトランス脂肪酸を組み合わせて検索した。さらに、奥山らが行った健康危険情報の中でSHRSPラットにおけるカノーラ油の影響が強調されていたことから、脳卒中の危険因子である高血圧もキーワードとして検索を行った。特に、人における報告例に注目して検索を行った。
結果と考察
約2,500の文献が抽出されたが、重複する文献や人の健康被害に関連しない論文を除けば、該当する論文は非常に少なく、混入物あるいは異物による健康被害やアレルギーに関連した報告が多く見られた。奥山らが指摘した油脂による人への健康被害報告例はこれまで認められていない。彼らは、動物実験やin vitro試験の結果を基に油脂の危険情報を通報しているが、その多くは遺伝的な疾患動物を用いた実験結果を根拠としているため、必ずしも人への健康影響を予測する適正な評価系と言えない。また、微量成分(4-butylresorcinol)の由来も明らでない。この様に、人への健康被害あるいは健康影響に関する十分な科学的根拠を伴っておらず、多くの疑問点が残されている。しかし、これまで人で報告されていない危険性に言及しているため、今後適正な科学的根拠の提示が必要と考える。
結論
本調査研究において、一般的に通常健常人が適正に品質管理された食用油脂を適量使用すれば健康に影響を及ぼさない、あるいは安全性が問題となる危険性は認められないと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-01-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500122C