文献情報
文献番号
200500116A
報告書区分
総括
研究課題名
看護記録の実態と法的整備の在り方に関する研究
課題番号
H17-特別-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
石鍋 圭子(青森県立保健大学健康科学部看護学科)
研究分担者(所属機関)
- 新道 幸惠(青森県立保健大学 健康科学部看護学科)
- 中村 惠子(青森県立保健大学 健康科学部看護学科)
- 上泉 和子(青森県立保健大学 健康科学部看護学科)
- 大串 靖子(青森県立保健大学 健康科学部看護学科)
- 小山 敦代(青森県立保健大学 健康科学部看護学科)
- リボウィッツ志村 よし子(青森県立保健大学 健康科学部看護学科)
- 中村 由美子(青森県立保健大学 健康科学部看護学科)
- 鄭 佳紅(青森県立保健大学 健康科学部看護学科)
- 木浪 智佳子(青森県立保健大学 健康科学部看護学科)
- 福井 幸子(青森県立保健大学 健康科学部看護学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医療安全や倫理的配慮への社会的ニーズの高まりを背景に看護記録の記載・保管を義務として法政化することは重要課題であり、この観点から、わが国における看護記録の実態を調査し法的整備のあり方の検討に資することを目的とした。
研究方法
①看護記録の法的整備の現状検討:関連する法律、制度等の資料収集、看護職との意見交換、法律家からの意見聴取。②医療提供施設における看護記録の実態調査: 質問紙郵送調査法で全国682施設が回答。③看護基礎教育における看護記録教育の実態調査:看護学テキストの内容分析、看護教員対象の質問紙郵送調査法。専門的研究者・教育者2名の意見聴取。④米国の法制度の検討:専門家3名への面接と文献レビュー。
結果と考察
①法的整備状況:保助看法では助産師にのみ記録を義務づけている。病院には医療法上の施設基準による看護記録の規定があり、診療報酬や介護保険関連施設への厚労省令で看護記録に関する基準が規定されている施設があるが、全ての医療提供施設に適用するものではない。②施設の実態調査では、病院の看護記録の記載・保管等については整っていたが、診療所や外来部門では低い結果であった。また、病床規模の少ない施設で、基準を有する割合、保管責任者の存在や看護記録に関する教育・研修の実施状況が低かった。介護保険関連施設、外来部門での適正な看護記録についての教育・研修を重点的に実施し、看護記録の質的向上を図る必要がある。③看護基礎教育では、法制化との関連で「看護記録」の概念を明確にして教授する必要性、看護実践と「看護過程」教育を区別した記録の教育の必要性、記録の電子化、個人情報保護法のなかで臨地実習における看護記録指導の再検討の必要性、が明らかになった。④看護記録に関する米国の国・州法上の規定は非常に一般的なものであるが、職能団体(ANA)、第三者評価等(例JCAHO)の指針を取り入れて施設の理念や手順が作成されていた。
結論
本研究の結果、看護記録の法整備上、次の課題が明らかになった。①看護記録の法制化は関連する制度の適用範囲を拡大し、看護記録の質的向上のための啓蒙を進めながら、実施基盤を整えるなど、段階的な実施が望ましい。②法制化の前提として看護記録に関する教育・研修の徹底をはかる必要がある。③法的規定に加え、多方面から看護記録の質的評価を行う環境を作る必要がある。
公開日・更新日
公開日
2006-10-17
更新日
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