石綿ばく露関連職種に関する研究

文献情報

文献番号
200500115A
報告書区分
総括
研究課題名
石綿ばく露関連職種に関する研究
課題番号
H17-特別-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
森永 謙二(独立行政法人産業医学総合研究所作業環境計測研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 高田 礼子(聖マリアンナ医大予防医学教室)
  • 三浦 溥太郎(横須賀市立うわまち病院)
  • 審良 正則(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
石綿は耐熱性、耐摩耗性、絶縁性等、非常に優れた性質を兼ね備えた天然鉱物であることから、様々な職場や産業界で使われてきた。従って、どのような職種や職場に従事してきた労働者が石綿のばく露を過去に受けたことがあるのかを知ることは、労働者本人が自覚していなければ知ることは非常に難しい。そこで過去の石綿ばく露の良い指標とされる胸膜プラーク(胸膜肥厚斑、限局性胸膜肥厚)を、様々な労働者の過去の健診の際に撮影された胸部レントゲンフィルムを再読影することにより、どのような労働者にどの程度の胸膜プラーク有所見者がいるかを把握することとした。しかし諸家の成績を比較する際にどのような診断基準で読影しているのかが問題となる。そこでまずは胸膜プラークの診断基準、診断精度に関する欧米の文献を調査することとした。
研究方法
Medlineで胸膜プラークの診断等に関する文献を検索し、重要な文献については収集し、レビュウした。なお、胸膜肥厚に関するものは今回の対象からは除外した。また、胸膜プラーク等石綿の健康影響に関する、欧米での最近の公的機関等の調査報告書(原文が英語以外のもの)を検索した。
結果と考察
諸家から種々提案されている診断基準は感度、特異度がそれぞれ異なる。その大きな要因は胸膜プラークと鑑別すべき陰影が多々あることである。特に側胸部の非石灰化プラークと前鋸筋と外斜胸壁筋が重複して生じる陰影、胸膜外脂肪組織や肋骨随伴陰影(肋間筋、脂肪組織)と混同され易いことから、今後計画している、種々の石綿曝露集団の胸膜プラークを指標とした断面調査では、経験ある読影者が診断基準を用いて実施すべきである。
カナダのケベック国立公衆衛生研究所の報告書(2003)によれば、石綿関連疾患はかっては同州にある石綿鉱山部門の労働者の割合が高かったが、その後石綿含有製品・構造物の保守・修理部門や建設部門での比重が増加していると述べている。
フランス上院に提出された報告書(2005)によると、1980年代以降になると、石綿を含有する設備等に接触する現場作業従事者の曝露リスクが高くなっているとしている。
結論
カナダケベック州でもフランスでも、最近の石綿ばく露職種は、かっての石綿製品製造労働者から、石綿を含有する設備と接触する現場作業従事者の曝露リスクが最も高くなっていることが判明した。
我が国での石綿ばく露関連職種の断面調査では上述の従事者を対象に胸膜プラークの読影の経験豊かな医師によって行うのが良い。

公開日・更新日

公開日
2015-06-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
200500115C