国立ハンセン病療養所の将来状況と対策の研究

文献情報

文献番号
200500113A
報告書区分
総括
研究課題名
国立ハンセン病療養所の将来状況と対策の研究
課題番号
H17-特別-013
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
長尾 榮治(国立療養所大島青松園)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全国の国立ハンセン病療養所の現状分析、将来推移と課題の予測をし、構想実現に必要な対策を提示して国のハンセン病政策に反映する。また一般病院医師の教育教材を作る。
研究方法
国立病院課や看護共同研究班の資料から療養所の現状を分析した。「介護サービス事業の経営実務」「厚生の指標」で一般老人保健施設の状況と比較した。施設の現状・問題・課題や一般舎に関する調査を行い、数施設の現地調査を実施した。班討議や入所者自治会支部長と意見交換を行った。全国研修指定病院の調査や皮疹の写真収集を行った。
結果と考察
入所者のほぼ全員が複数の慢性疾患を持っており、今後も後遺症に関連する疾患対策が必要である。大半の施設に於いて「入居者数の減少は不自由者棟の方が早く一般舎は遅い」ために、“高齢者のQOLが実現できる新住居”を作る必要がある。現在、病棟・不自由者棟・一般舎の入居率は低く職員配置が非効率であり、集約化が必要である。その際には各施設で適切な看護・介護単位と職員配置人数の基準を定める必要がある。介護時間は、同程度の一般老人要介護者に比べて、約2.5倍の時間を必要としていた。医療体制の現状に関して、僻地や離島や山上に在る施設では医師確保に困難をしていた。多くの施設で、入所者が内外で受けているレベルは高いと考えており、外部医療機関との連携は良好に進められていた。入所者が居なくなった後のことを考えると、療養所主体の併設型は考えにくい。敷地の売却・譲渡や貸与も一つの選択肢である。100名以下になる時点において、離島、山上、僻地に施設が在る場合は地理的条件が悪く、転居も選択肢である。病棟・不自由者棟・外来治療棟を統合する新しいシステム構築が必要となる。毎年毎に5年計画を提示して運営を進めることが重要である。外部環境整備(定期協議会や委託先スタッフの教育)が重要である。一般病院の医師の診断能力を高めるための教材が必要であることがわかった。
結論
後遺症対策を含む医療の継続、障害を持つ高齢者のQOLの実現と集約化には、看護・介護単位と職員配置数基準等設定の必要がある。離島・山上・僻地に在る場合は地理的条件が悪く、人材の確保が極めて困難になり、転居も選択肢となる。新治療システム構築が必要となる。毎年毎に5年計画を提示して運営を進めることが重要である。診断能力向上に『ハンセン病診断・鑑別診断ナビゲーター』アトラス・CD-ROMを作成した。

公開日・更新日

公開日
2006-10-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500113C