文献情報
文献番号
200500105A
報告書区分
総括
研究課題名
夏期における我が国のオフィス温熱環境の特徴に関する調査研究
課題番号
H17-特別-026
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
池田 耕一(国立保健医療科学院建築衛生部)
研究分担者(所属機関)
- 栃原 裕(九州大学大学院芸術工学研究院人間工学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
建築物衛生的法制定から30年以上が経過し、オフィスの空調設備の変化、建物構造の気密化・高断熱化、備品の機械化、省エネルギーを目指したクールビズ対応などはその頃想定された状態とはかなり異なってきている。そこで本研究では、現状の把握と問題点の検討を目的に、温熱環境に関する諸外国の規制の状況に関する調査と、実際の「クールビズ」導入オフィスにおける温熱環境とそこで働く人の人体側条件に関する実態調査研究を行った。
研究方法
欧州、北米、アジア、オセアニア等の諸外国の温熱環境基準に関する報告書、関連学会の資料、関連論文をインターネットおよび文献データベースで調査した。一方、夏期のオフィスにおける温熱環境実態は2005年9月中旬に千代田区にあるオフィスビルにおいて、そこで働く人を対象に実施された。調査項目としては、温熱環境条件として、調査対象執務室の温度、相対湿度、気流速度、黒球温度であり、人体側環境条件測定として、主観的申告(温冷感、温熱的快適感)、着衣状況、身長、体重、体質、その他コメント等を調べた。
結果と考察
諸外国の規制の現状調査では、アメリカ合衆国、カナダ、イギリス、フィンランド、中国、香港特別行政区、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドの温熱環境基準に関する情報を得た。気温28℃以下の環境でもその他の温熱条件(放射熱、高湿度)の影響によっては熱射病が発生することが報告されていた。環境の状態はもちろんのこと、年齢や性別、個別の体調やその他様々な要因によって熱中症の危険性は変化すると考えられるので、その点についてはたとえオフィス内でもある程度留意されるべきといえよう。
結論
諸外国の温熱環境基準値については、夏と冬の基準を別々に設定している関係諸機関が多くみられた。温熱快適性は、着衣量によってその温度範囲が異なるため、季節に応じた快適な温度範囲がある。夏場の上限温度は、着衣量、活動量、外気温等の他の因子によって快適範囲が異なると考えられる。オフィス環境での快適性向上のための手段としては、着衣の軽装化による調整や、空調吹き出し口の工夫、扇風機や通気性を利用したオフィス家具の導入などが考えられる。
公開日・更新日
公開日
2016-06-01
更新日
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