文献情報
文献番号
200500098A
報告書区分
総括
研究課題名
研修医の勤務・研究時間に関する研究
課題番号
H17-特別-017
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
相澤 好治(北里大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 青木 誠(国立病院機構東京医療センター 総合内科)
- 伊野 美幸(文京学院大学大学院 臨床心理学)
- 堀江 正知(産業医科大学 産業保健管理学)
- 前野 哲博(筑波大学 総合診療医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
新制度の実施に伴う研修医の処遇の改善、研修医が労働者であるとする最高裁判所の判決や医師全体を取り巻く労働状況の変化もあり、研修医の勤務・研修時間に対する考え方に混乱が生じている。この背景を踏まえ本研究では、研修医の勤務・研修時間に関して実態調査を行い、海外の事例を参考とし在るべき姿を検討することを目的とした。
研究方法
研修医の労働時間と睡眠不足が業務と研修医の健康に及ぼす影響に関して、欧米における文献調査を行った。指定病院研修医に対して質問調査を行い、研修医の労働状況の実態調査を行った。卒後初期臨床研修における研修医の研修環境・研修内容と達成感・満足度に関する調査を行った。大学病院研修修了時の研修医の目標達成度、研修時間などについて調査を行った。研修医の勤務における負担感とその対策に関する調査研究に関して文献調査と研修医の当直明けの仮眠の効果に関する介入研究を実施した。研修医の労働・研修時間とストレス反応に関する研究に関して実態調査を行った。
結果と考察
米国では研修医の労働時間は週平均で80時間以下とされ、EUでは週58時間から削減する傾向にある。本研究による研修時間調査では、平均78時間/週であり、3分の1が80時間を超え、一般労働者より長時間にわたることが推察された。また研修時間が長ければ疾患や手技の経験数が多いとはいえなかった。平均睡眠時間は65%が5時間以下であった。週末休暇は2日/月と答えたものが45%で、70%は仕事量が適当と答えた。研修時間が増えると自由時間で代償し、その後睡眠時間を削る傾向が示唆された。質問票調査で、28.6%が、最近1ヶ月間において3回/週以上業務中に起きていられなくなったと答え、これには睡眠時間6時間未満、喫煙、抑うつ状態と有意な関連性が認められた。
結論
労働、研修時間の増加は自由時間で代償し、その後睡眠時間を削る傾向が示唆された。ストレス反応に関する解析では、週90時間を超えると急速にストレス反応を起こす割合が増加する事が示唆された。睡眠不足や疲労の蓄積は、注意力低下による医療安全のリスクを増加し、本人の健康障害発生の可能性があるので、勤務上の配慮がされるべきである。国際的にも長時間勤務・研修時間は改善される傾向があり、病棟医や指導者の労働衛生管理も併せて行う必要がある。
公開日・更新日
公開日
2006-10-17
更新日
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