医療機関における安全管理体制のあり方に関する調査研究

文献情報

文献番号
200500095A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関における安全管理体制のあり方に関する調査研究
課題番号
H17-特別-012
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
井部 俊子(聖路加看護大学)
研究分担者(所属機関)
  • 菊池 令子(日本看護協会)
  • 太田 加世(聖路加看護大学)
  • 鈴木 理恵(日本看護協会)
  • 小谷 幸(日本看護協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、医療機関において患者や医療従事者が暴力被害を受ける事件が相次いで発生したり、盗難や機器損壊がおこる等、医療機関における安全管理対策整備が喫緊の課題となっている。患者に安全、安心な療養環境を提供すること、職員にとって安全な労働環境を整えることは、良質な医療サービスを提供するための重要な要素である。そのため、今後は病院において、安全管理体制の整備を積極的にすすめる必要がある。本研究では、①国内外の安全管理対策への取り組みの実態、先進事例を把握すること、②①をもとに医療機関の安全管理体制について、日本における今後の具体的な対策の検討につながるよう課題の抽出を行い、安全管理体制のあり方を整理することにより、③医療機関における暴力事件等への安全管理対策のあり方を提示することを目的とした。
研究方法
本研究では、①文献検討を中心とした組織的取り組みの把握、②安全管理体制の整備を進めている病院、保安・警備会社、職場の暴力に関する有識者に対するインタビュー調査を行った。
結果と考察
文献調査の結果、国内文献では、病院の安全管理体制整備の重要性への認識は高まっているものの、院内で発生する暴力、乳幼児連れ去り事件に対し、組織的、具体的な取り組みが進んでいない状況が明らかになった。
一方、国外文献では、病院の安全管理体制整備に向けた取り組みを、「予防」、「発生時の対応」、「事後対応(機能回復)」に分けて検討する必要性が認識され、具体的な取り組み内容が報告されていることが明らかになった。しかし、暴力事件に対する具体的な取り組みは多く紹介されているものの、取り組みの効果に関する検証はなされていなかった。
インタビュー調査の結果、近年の様々な事件発生を受けて、安全管理への取り組みが必要であるとの病院の意識は高まっていた。特に安全管理体制整備を進める上で、アクセスコントロール、防犯カメラ等防犯設備の充実、職員や病院医療者の意識の醸成、安全管理対策マニュアルの整備と職員への徹底及び定期的な見直し等の重要性についての認識が高く、これらは文献調査で得られた知見とも共通であった。
結論
病院の安全管理体制のあり方を、①安全管理体制に対する病院の方針の検討、②暴力事件、乳幼児連れ去り事件発生の予防、③事件発生時及び事後の対応の検討、④安全管理対策マニュアルの整備と職員教育の実施、の4点にまとめ、具体的取り組み事項を含めて提言した。

公開日・更新日

公開日
2007-11-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500095C

成果

専門的・学術的観点からの成果
これまで安全管理体制に関する検討及びそれに資する研究蓄積は充分ではなかった。本研究において、国内外の文献調査、インタビュー調査を行うことにより、医療機関における暴力等に対する安全管理体制の実態が把握されるとともに、予防対策、事件が発生した際の対応、原因の分析、事件後の患者や職員への支援、それらを踏まえた対策の見直しまでのプロセスをも含む包括的な安全管理体制のあり方を示すための基礎資料を作成し、患者ならびに職員の安全を推進する上で必要な提言を示すことができた。
臨床的観点からの成果
該当なし
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
「医療機関における安全管理体制について(院内で発生する 暴力被害への取り組みに関して)」について(平成18年9月25日医政総発0925001号医政局総務課長通知)を、都道府県、医療関係団体に発出し、研究の内容について医療安全体制の整備のために周知した。
その他のインパクト
(1)全国紙、専門誌による取材、問い合わせ有
(2)厚生労働省 平成18年度「医療安全推進週間」医療安全フォーラム「医療安全ワークショップ・研究発表会」にて発表 (3)2007年10月 労働科学研究所創立85周年記念事業 現代の労働と安全・保健マネジメント]連続セミナー  医療機関の安全衛生マネジメント ~患者・利用者などからの暴言・暴力から医療従事者をどのように守るか~ にて資料として紹介有

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-