戦略的アウトカム研究策定に関する研究

文献情報

文献番号
200500089A
報告書区分
総括
研究課題名
戦略的アウトカム研究策定に関する研究
課題番号
H17-特別-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
黒川 清(東京大学先端科学技術研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 辻 一郎(東北大学大学院医学系研究科)
  • 福原 俊一(京都大学大学院医学研究科)
  • 山田 信博(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
15,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.平成17年度に開始された戦略研究課題の進捗状況を確認し、戦略研究課題の実施において必要となる運営体制、研究支援インフラ体制について、研究遂行に支障がないかまた、過不足がないかを検討し、それらの解決策を提案すること。
2.厚生労働科学研究費補助金の新たな枠組に加えられ、平成18年度から実施される「プロジェクト提案型研究」の効果的な実施方法を提案すること。
3.平成18年度の戦略研究課題に関する成果目標と研究計画の骨子を提案すること。
研究方法
1.今年度より開始された戦略研究課題に関して、関係者からのヒアリングと進捗状況のモニタリングを実施し、それを踏まえて詳細な議論を重ねた。
2.戦略研究の亜型であるプロジェクト提案型研究課題の枠組・運営体制のあり方について、戦略研究、海外における先行例等を参考として詳細な議論を重ねた。
3.平成18年度の戦略研究課題について、文献検討及びそれらの研究者からのヒアリングを実施した。
結果と考察
1.本研究班は、昨年度本研究班が提言した戦略研究の運営体制および研究支援インフラの整備体制に対して、その問題点を真摯に整理し、解決方法を提言した。また、関係者にとっても初めての試みである戦略研究の理念および枠組に関する共通の理解を醸成するために、「戦略研究ガイドブック」を作成した。今後の問題点として、モニタリング体制の整備・強化、「エビデンス-実践ギャップの改善」を可能とするための方策・戦略、等が挙げられ、さらに体制整備の為の議論が必要と考えられた。
2.プロジェクト提案型の公募と応募課題の評価のありかた、研究実施計画書の策定方法、戦略研究への移行に伴う問題点とその方策、に関する提案をおこなった。
3.平成18年度の戦略研究課題である「がん」「エイズ」に関する戦略研究課題について、成果目標および研究計画の骨子を作成し、提案した。
結論
1.平成17年度に開始された戦略研究の運営体制および研究支援インフラに関する問題点を指摘し、必要な修正等を提案した。
2.平成18年度から新たに実施されるプロジェクト提案型研究の効果的な実施方法に関する提案を行った。
3.平成18年度の戦略研究課題について、成果目標と研究計画の骨子を提案した。

公開日・更新日

公開日
2006-06-06
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500089C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1.これまでわが国では容易でなかった、「EBMを実践するために必要なエビデンスを創設する臨床研究」を実施する、という戦略研究の目的を達成する為に、本研究班では、より現実的で優れた戦略研究の運営体制や研究支援インフラ体制の構築・改善に寄与する提案を行った。
2.戦略研究の成果を質の高い診療の実現に結びつけるためには、創出されたエビデンスができるだけ速やかに診療ガイドラインなどに反映されて、実際の診療に広く生かされること、すなわち、エビデンス-実践ギャップを解消することが必要なことを指摘した。
臨床的観点からの成果
1.わが国で増加の一途をたどっている乳がん対策を確立する為に、特に乳がん患者の早期発見に有用とされる超音波検査の有効性を検証する研究計画の骨子を提案した。
2.国民の約3分の2が希望している終末期在宅療養を可能にすることを目的に、地域における疼痛緩和ケアサービス体制を整備し、その有効性を検証するためのアウトカム研究を提案した。
3.わが国では増加の一途をたどっているAIDS発症者を減少させることを目的に、効果的な啓発普及・広報戦略を策定・実施し、その効果を検証する研究計画の骨子を提案した。
ガイドライン等の開発
1.今後開始される「戦略研究」に取り組む者が、「戦略研究ガイドブック」を作成し、配布した。この中には、戦略研究の概要、戦略研究の組織と運営、戦略研究の具体例等が記載され、戦略研究の理念や枠組みに対する理解が共有され、戦略研究が適切にかつ効率的に運営されることを目指している。
2.戦略研究成功に導くために、より多くの国民・研究者の間に戦略研究に対する共通の理解が必要であることから、シンポジウムの開催、ホームページ開設などを通じて戦略研究の意義を広く啓蒙・振興する努力が必要であることを提言した。
その他行政的観点からの成果
1.新たな研究の枠組みである「プロジェクト提案型研究」について、公募と応募課題の評価のあり方、研究実施計画書の策定方法、等を検討し、その実施方法を提案した。
2.戦略研究・プロジェクト提案型研究が、「これまでの研究開発投資による成果を臨床・実用技術として還元する為の投資の促進」のために有効活用される為の提案をした。
3.第2期科学技術基本計画に基づく厚生労働科学研究費補助金事業の評価に際して、戦略研究の適正な評価体制構築のための「モニタリング」について提案した。
その他のインパクト
 「戦略研究」の目的の一つには「わが国から優れた臨床研究を、世界に発信できる研究者を育成すること」がある。本研究班が、今年度に作成した、「戦略研究ガイドブック」は、EBMに貢献する臨床研究を指向する研究者が「戦略研究」の枠外で行われる研究を計画立案・実行する際にも有用な方法論を示し、「戦略研究」に限定せず、多くの研究者が高い質の臨床研究を計画立案・実行する際に参考になるものとした。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-