細菌性腸管感染症の病原因子の解析と診断・治療への応用に関する研究

文献情報

文献番号
200501370A
報告書区分
総括
研究課題名
細菌性腸管感染症の病原因子の解析と診断・治療への応用に関する研究
課題番号
H17-国医-009
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 治雄(国立感染症研究所細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 敬の介(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 山本 友子(千葉大学大学院薬学研究院)
  • 大澤 朗(神戸大学大学院自然科学研究科)
  • 喜多 英二(奈良県立医科大学)
  • 平山 壽哉(長崎大学熱帯医学研究所)
  • 近藤 誠一(城西大学薬学部)
  • 山崎 伸二(大阪府立大学大学院生命環境科学研究科)
  • 吉田 真一(九州大学大学院)
  • 林 哲也(宮崎大学・フロンティア科学実験総合センター)
  • 甲斐 明美(東京都健康安全研究センター微生物部)
  • 山本 達男(新潟大学大学院医歯学総合研究科)
  • 野田 公俊(千葉大学大学院医学研究院)
  • 西渕 光昭(京都大学東南アジア研究所)
  • 島村 忠勝(昭和大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 国際医学協力研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
14,827,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)アジア地域で発生している腸管感染症の流行状況の疫学的解析、2)主な原因細菌の流行の変化、あるいは病原性の変化の有無、等を詳細に解析し、新興する可能性がある腸管細菌の迅速把握を行えるシステムを開発し、監視網の強化を目指す。また、それらに対する治療・予防法の開発を行う。それによりアジアで発生する疾患の拡大阻止、被害の最小化を図る。
研究方法
1)分子疫学的手法の開発研究:アジアおよびわが国で発生しているコレラ菌、腸管出血性大腸菌等を、分子疫学的手法を用いて解析し菌の多様性を明らかにする。2)感染症の発症機序の解明:細胞生物学的および分子遺伝学的手法を用い、病原性を解析し、予防法の開発に利用する。
結果と考察
1)プロファージのバリエーションがEHEC O157ゲノムの多様化の原動力であった。小さな構造多型の多くはISが関与した変化であることが明らかになった。2)コレラ毒素、志賀毒素の阻害剤開発:ABサブユニット毒素であるコレラ毒素と志賀毒素の阻害剤の開発を行った。コレラ毒素に対しては、漢方薬に使用されている大黄という植物から抽出したRG-タンニンと言う物質と林檎の未成熟果実から抽出したアップルフェノンと言う物質が特異的に阻害する事を発見した。
結論
腸管系細菌感染症の代表的な細菌、腸管出血性大腸菌、腸炎ビブリオ菌、およびそれらの細菌の産生する毒素の遺伝学的および生化学的解析を行った。その結果、菌のゲノムの多様性を明らかにできた。また、毒素の阻害剤を開発し治療への道を開いた。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-