墓地等経営の安定化に関する研究

文献情報

文献番号
199700003A
報告書区分
総括
研究課題名
墓地等経営の安定化に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
浦川 道太郎(早稲田大学)
研究分担者(所属機関)
  • 新井誠(千葉大学)
  • 長江曜子(聖徳女子短期大学)
  • 横田睦(全日本墓園協会)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生行政科学研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
1,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は平成 8年度厚生科学研究「墓地の使用契約ガイドラインの作成」に続いて、現在の墓地、特に、特定の宗派を問わず一般市民の利用に供されている事業型墓地(一般に「霊園」と呼ばれているもの)の経営上の問題点について、検討を加えるものである。墓地に関しては、都市への人口集中の結果として墓地不足という問題が発生していることなどを背景として、都市とその近郊では事業型墓地が盛んに開設されている。しかし、このような事業型墓地の経営主体は、現在、永続性と非営利性の確保の観点から、市町村等の地方公共団体及び、宗教法人・公益法人に限られている(昭和43年 4月 5日環衛第8058号「墓地、納骨堂又は火葬場の経営の許可の取扱いについて」)。即ち、営利法人が墓地事業を実施することができないというこうした制約から、他方においては、この制限を迂回するべく、営利法人が宗教法人を名義的に利用することによって、実質的な墓地の造成、墓所の販売を行うという問題も発生してきている。また、開設してから長期間を経過し、販売すべき墓所が僅少になってきた事業型墓地では、管理経費を十分に確保出来ない場合、墓地全体の環境管理に困難が生じる危険性も生まれてきている。さらに、都市化の反面である地方の過疎化により、地方に存在する在来からの個人型墓地や寺院境内型墓地、村落型共同墓地においては十分な管理を実施できず荒廃するものも見受けられる。このような墓地の経営管理をめぐり困難な問題が発生しつつあるとの概括的な現状認識に基づき、本研究においては、墓地経営上の問題点を分析し、今後の墓地経営の安定化を図る施策を考える基礎的研究を実施しようと試みた。
研究方法
本研究は、主任研究者を中心にして、信託制度の専門家、海外の墓地制度に詳しい研究者、民間霊園関係者、 全日本墓園協会の役員、研究員の参加を得て、平成 9年(1997)年 9月25日に第 1回の研究会以後、計 5回開催されている。内容は、 全国の大規模墓地の実態調査を実施、経営に関するデータ収集と分析。 民間営利法人の墓地経営への参加を可能とする方策として、信託の利用の検討。 海外における墓地管理制度に関する調査。以上 3つに大きく分けられている。この他、全体のとりまとめを含めて 4名の執筆者により報告書が起草された。
結果と考察
大規模霊園の実態調査を実施して、事業型墓地経営に関する最新のデータの収集に努め(本報告書に墓地経営の現状を示す観点から実態調査の結果のポイントを指摘し、付録として実態調査結果を添付した)、 墓地の永続性を確保しつつ墓地事業に民間の営利法人の参加を可能とする方途として、信託(特に、公益信託)が利用可能であるかを検討し、 墓地経営の安定化のためにアメリカで採用されている管理基金制度に関する調査を行った。また、これらの調査・研究に基づき、 わが国の墓地経営に関して今後さらに検討を要すべき事項を整理した。
結論
本研究は「研究目的」においても触れた様に、墓地等の管理・経営に関して生じている、あるいは発生が危惧される問題点を明らかにし、その対策を提言するための基礎的な調査・研究を実施することを目的としていた。従って、本研究から結論を導きだし、墓地等の管理・経営に関して具体的な提言を行うことは出来ない。墓地経営が抱える問題点は多岐にわたることから、今回の調査・研究は総体としての問題の端緒に触れるにとどまり、必ずしも全体的なまとまりがあるものとはなっていない。従って、我が国における墓地経営の安定化のための具体的な施策を提示するためには、今回の研究を踏まえてさらに考察を深める必要がある。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)