文献情報
文献番号
200500080A
報告書区分
総括
研究課題名
抗酸菌感染の国際的対応への貢献を目指した基盤に関する研究
課題番号
H17-国医-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
光山 正雄(京都大学大学院医学研究科微生物感染症学)
研究分担者(所属機関)
- 谷口初美(産業医科大学微生物学教室)
- 後藤正道(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先進治療科学専攻腫瘍学講座 )
- 吉開泰信(九州大学生体防御医学研究所附属感染防御研究センター)
- 菅原 勇(結核予防会結核研究所抗酸菌レフェレンスセンター)
- 後藤義孝(宮崎大学農学部微生物学講座)
- 松岡正典(国立感染症研究所ハンセン病研究センター生体防御部第一研究室)
- 小野嵜菊夫(名古屋市立大学薬学部衛生化学教室)
- 福富康夫(国立感染症研究所ハンセン病研究センター病原微生物部第二研究室)
- 赤川清子(国立感染症研究所免疫部第四室)
- 山本三郎(国立感染症研究所細菌第二部第四室)
- 大山秀樹(兵庫医科大学医学部病理学第一講座)
- 大原直也(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科口腔病原微生物学 )
- 岡田全司(国立療養所近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター)
- 小出幸夫(浜松医科大学微生物学教室)
- 白川太郎(京都大学大学院医学研究科社会健康医学専攻)
- 牧野正彦(国立感染症研究所ハンセン病研究センター病原微生物部)
- 鈴木定彦(北海道大学大学院獣医学研究科内 人獣共通感染症リサーチセンター)
- 長谷 篤(大阪市立環境科学研究所微生物保健課)
- 竹田 潔(九州大学生体防御医学研究所ゲノム機能制御学)
- 慶長直人(国立国際医療センター研究所呼吸器疾患研究部)
- 向井 徹(国立感染症研究所ハンセン病研究センター病原微生物部第一室)
- 田村敏生(国立感染症研究所ハンセン病研究センター病原微生物部第四室)
- 高嶋哲也(大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター)
- 松本壮吉(大阪市立大学大学院医学研究科感染防御学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 国際医学協力研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
14,827,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
結核菌/結核とハンセン病/らい菌を対象とし、原因細菌の分子遺伝学、病原性や免疫原性の分子生物学、免疫生物学的研究、感染の病態病理学的研究、疾患感受性遺伝子の研究などを行い、さらに診断や検出菌の同定法などに関わる技術的開発や新規ワクチンの開発研究を行い、よって抗酸菌感染の国際的対応に貢献する基盤確立を目的とした。
研究方法
実験室保存株を用いた細胞への感染やマウス、ラットなど実験動物への感染実験により、菌の病原性に関わる遺伝子や分子の解析を行い、またサイトカインやT細胞応答などにつき免疫学的解析を行った。臨床由来の分離株について、新たな分子遺伝学的手法による分析法や薬剤耐性変異の検出を可能にする技術開発を行った。新たな分子デザインでの新規結核ワクチンを作製しサルを用いたトライアルを実施した。結核やハンセン病に対する疾患感受性や病型決定に関与する可能性のあるヒト遺伝子の特定を試みた。
結果と考察
結核菌の病原性や潜伏感染に関わる可能性のある遺伝子が幾つか特定され、またその機序の解明が進展した。感染モデルにおいて、各種サイトカインの関与やT細胞応答の機序について幾つかの新たな知見が得られた。従来法より簡便で信頼度の高い菌の検出法や耐性の検出法が開発されてきた。新たな遺伝子マーカーの設定により、従来以上に優れた分子疫学的解析法が見出された。気道感染に対し期待できる防御効果を示す新規抗結核ワクチンの候補標品が絞り込まれてきた。一部ではあるが結核や非結核性抗酸菌症の感受性に関わる遺伝子、ハンセン病の特有の病型決定に関わる可能性のある遺伝子の絞り込みが進行した。以上の成果は、今後の基盤確立の礎石となるものであると同時に、一部の技術開発は短期間での臨床応用の可能性も示した。
結論
基礎微生物学、臨床細菌学、免疫学、分子病理学、臨床分子遺伝学、ワクチン学などの専門家25名で構成された研究班により得られた今年度の成果は、今後さらに病態解明を進める上で極めて重要な情報となるであろう。また検出法、耐性検査法、クラスター解析法などの技術的研究は、早期に実地応用が可能な段階であり、アジア地域における技術的貢献も期待できる。
公開日・更新日
公開日
2011-05-31
更新日
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