寄生虫症の病態・治療及び予防に関わる標的分子探索とその国際寄生虫対策への応用的展開に関する研究

文献情報

文献番号
200500078A
報告書区分
総括
研究課題名
寄生虫症の病態・治療及び予防に関わる標的分子探索とその国際寄生虫対策への応用的展開に関する研究
課題番号
H17-国医-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
太田 伸生(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 北 潔(東京大学大学院医学系研究科)
  • 鳥居本美(愛媛大学医学部)
  • 平山謙二(長崎大学熱帯医学研究所)
  • 有薗直樹(京都府立医科大学)
  • 木村英作(愛知医科大学)
  • 辻 尚利(農業・生物系特定産業技術研究機構)
  • 川中正憲(国立感染症研究所寄生動物部)
  • 金澤 保(産業医科大学)
  • 門司和彦(長崎大学熱帯医学研究所)
  • 狩野繁之(国立国際医療センター研究所)
  • 田辺和裄(大阪大学微生物病研究所)
  • 中西憲司(兵庫医科大学)
  • 松岡裕之(自治医科大学)
  • 青木 孝(順天堂大学医学部)
  • 片倉 賢(北海道大学大学院獣医学研究科)
  • 五十嵐郁男(帯広畜産大学)
  • 遠藤卓郎(国立感染症研究所)
  • 野崎智義(群馬大学医学部)
  • 小林睦生(国立感染症研究所)
  • 坪井敬文(愛媛大学無細胞生命科学工学研究センター)
  • 久枝 一(九州大学大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 国際医学協力研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
14,827,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 アジアに蔓延する寄生虫疾患の流行制圧に向けて基礎研究と応用研究を加味した国際的な戦略確立を目的にした。特に寄生虫の寄生適応の分子機構、寄生虫症の発症機構、ワクチン標的分子の探索、新規治療標的分子の探索、国際寄生虫対策への応用展開を課題として研究と対策事業の国際協力体制構築を図った。
研究方法
 以下の5項目のアプローチから進めた。
① 寄生適応を規定する分子探索:マラリア原虫、赤痢アメーバ、住血吸虫などが宿主からの排除機構から回避するのに重要な分子を同定し、その発現調節を解析した。
② 病態発現に関わる分子解析:病態発現に関与する寄生虫側分子と宿主側の素因同定や病態調節に関わる宿主免疫応答を解析した。
③ ワクチン分子の探索:三日熱マラリア伝搬阻止ワクチンの分子探索とそのコムギ胚芽を利用した無細胞タンパク合成系の活用を検討した。
④ 新規治療標的分子の探索:トリパノソーマやクリプトスポリジウムなど治療が困難な原虫疾患の治療標的分子を解析した。
⑤ 国際寄生虫対策への応用展開:新しい診断法の流行地での活用と流行監視、ワクチン効果を検証する血清疫学、媒介昆虫の生態調査などを実施した。
結果と考察
 上記5つのアプローチは相互に比較して寄生虫流行制圧という目標に活用される。寄生適応メカニズムの分子的基礎が解析され、マラリア原虫や住血吸虫におけるレドックスシステムの解析が進んだ。その他にも解明された寄生適応決定分子は今後の新規治療薬開発の標的分子と考えられる。赤痢アメーバのプロテオーム解析が進んだ結果、病原原虫の地理分布や病原性予測が可能になり今後の流行監視や治療計画策定に活用される。三日熱マラリア伝搬阻止ワクチン研究でも新規候補分子とコムギ胚芽系での安定的供給が確立した。このタンパク合成系は他のワクチン分子にも広く応用が期待される。鞭毛類原虫の治療薬としてのアスコフラノンの安全性と高い効果が確認され、今後はアジアでの治療試験の展開が待たれる。これら新技術・情報の流行制圧事業への活用が検討され、診断法、衛生教育法などの改善が進んだ。
結論
 アジアの寄生虫症流行制圧のための総合的研究が進んだ。寄生適応の決定分子、病態発現の調節分子、ワクチン分子、治療標的分子など詳細な分子情報が蓄積され、今後の新しい寄生虫対策戦略開発の途が開かれた。これらを基に実際の流行現場での活用が図られ、一部は流行地の保健行政に大きな貢献がなされた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-09-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500078C