途上国における公共保健医療サービスの質・安全の確保に関する政策研究

文献情報

文献番号
200500073A
報告書区分
総括
研究課題名
途上国における公共保健医療サービスの質・安全の確保に関する政策研究
課題番号
H17-国際-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
上原 鳴夫(東北大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学大学院医療政策学)
  • 岩崎 信(東北大学大学院教育情報学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 社会保障国際協力推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
7,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、限られた医療資源のもとで医療の質と安全を確保するという課題を実現することをめざし、WHO本部およびWHO西太平洋地域事務局等と緊密に連絡を取りながら、質・安全にかかる技術協力について日本とアジア諸国の医療政策形成に資する指針とその根拠を提供することを目的とする。
研究方法
フィリピンにおける医療安全にかかる問題の現状を把握するために、過去3年間の報道記録の調査、医療過誤訴訟の実態調査、医事法研究者と主要病院の管理者に対する聞き取り調査を実施した。保健医療情報システムと結核対策について、改善を目的とする質評価調査の予備調査を実施した。
結果と考察
フィリピンの第2期医療制度改革プランは「質の保証のための法規範の整備」を掲げており、医療の質・安全に関連する法案が提案されたことで社会的関心が急速に高まりつつある。 市保健局におけるFHSIS四半期報告書を作成するプロセスで15個中11個の指標について数値が増加したことを確認した。また州保健局における州四半期集計表を作成するプロセスでは、15個中1個の指標で数値が増加していた。また3個の指標について、州四半期集計表上に数値の記載が欠落していた。また、6つのプログラム(家族計画、栄養、結核、マラリア、狂犬病、性行為感染症)で、プログラム独自の情報システムとの重複が認められ、結核と栄養の指標については、定義の異なる指標を採用していた。また同国の全国結核制圧計画(National Tuberculosis Control Program)については、結核発見率の低さ、そして治療面では、民間医療機関を中心にDOTSが普及していないという医療の質管理に問題があることが明らかとなった。
結論
1.フィリピン共和国では医療過誤が広く認識されている。しかしながら、医療過誤がシステムの問題であることはあまり認識されていない。今後は、実際の事故事例をトレーサーとして、現地研究協力者のチームとともに医療安全の取り組みの着手点とアプローチの方法を考案する。
2.統合保健医療情報システム(MFHSIS)のデータの質が損なわれていることが明らかになった。データの質を損なう要因には、MFHSISの設計に起因するものがあると考えられる。
3.医療制度改革は、結核対策も含めた社会資源の役割・機能分担について再整理が必要であると認識された。

公開日・更新日

公開日
2009-06-10
更新日
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