患者調査の統計情報高度利用に関する研究

文献情報

文献番号
200500068A
報告書区分
総括
研究課題名
患者調査の統計情報高度利用に関する研究
課題番号
H16-統計-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 敏彦(国立保健医療科学院政策科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 平尾 智広(香川大学医学部)
  • 長谷川 友紀(東邦大学医学部)
  • 種田 憲一郎(国立保健医療科学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 統計情報高度利用総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,004,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療制度改革において患者調査は制度設計の基礎となる定量的で科学的な根拠を形成するために必須の情報であるが、同調査が提供する統計的情報を高度に利用するためには、患者調査の調査設計や使用方法を見直す必要がある。本研究は平成20年度に実施予定の患者調査に向けて、時代に適応した調査のあり方と調査後の統計情報の使用方法に関する検討を行うことが目的である。
研究方法
昨年度の「標本数」「最適調査日」「医療機関の専門化等の社会環境・医療の変化に対応した調査設計」「記入者負担軽減を考慮した調査票」「総患者数推計」(診療間隔・生活習慣病)「救急の取扱」に関する検討を踏まえ、本年度ではこれらのうち詳細な分析が必要とされた「総患者数推計」「救急の取扱」の検討を中心的に行い「総患者数算定方式」「救急の集計」に関する提言をまとめ患者調査の今後の展望について考察した。
結果と考察
総患者数の新算定方式としては、診療時間の変化等を勘案し「総患者数=入院患者数+初診外来患者数+再来外来患者数×平均診療間隔(31日以上を含む)×調整係数(6/7を5.5/7に変更)尚、入院・外来患者数には、複数傷病を含む。」を提案した。尚、2002年度から副病名を記述しなくなったため、特に総患者数を算出する場合に不正確であり20疾患だけについて複数選択制の重複傷病リストを用いることも併せて提案した。救急の集計については、救急外来への受診が最も救急患者の定義に近いが、救急外来の定義や院内での記録の存在に問題があり、逆に救急の定義を定め、単なる定義のみならず具体的なデータの取り方に関するパッケージを考察し、各病院に提示することが有用であると考えられた。
結論
疾病構造は変化し、生活習慣病に加えて生活不活病等の新しい概念が提案され、病院の機能分化が進行し、週休二日制の進行とともに開業時間も短縮している。また、医療安全や医療の質への国民の関心が高まり、行政の役割に対する期待も大きく変化している。そして、何よりも大きな変化は、院内の医療情報をめぐる環境の変化である。これらの状況を踏まえて、次回の患者調査からは救急患者数の把握法や複数傷病の調査法、総患者数算出方式について見直しをする必要がある。またこれは、現在進行中の諸政策「健康フロンティア」や「医師需給」「医療計画の見直し」「都道府県による医療費適正化」に資すると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2006-07-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-01-19
更新日
-

文献情報

文献番号
200500068B
報告書区分
総合
研究課題名
患者調査の統計情報高度利用に関する研究
課題番号
H16-統計-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 敏彦(国立保健医療科学院政策科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 平尾 智広(香川大学医学部)
  • 長谷川 友紀(東邦大学医学部)
  • 種田 憲一郎(国立保健医療科学院政策科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 統計情報高度利用総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
患者調査を統計的に高度利用するには、患者調査の使用法や調査法について再考する必要がある。本研究は、平成17年度実施予定の患者調査に向けて、時代に適応した高度利用と調査のあり方や、調査結果の使用方法の検討を目的とした。
研究方法
第一年度は標本数に関する検討、最適調査日の検討、医療機関の専門化等の社会環境・医療の変化に対応した調査設計、負担軽減の観点からの調査票の検討、総患者数推計の検討、救急の取扱に関する予備的検討を行った。翌年度は成果をふまえつつ、総患者数算出新方式に関する研究、救急患者の分析に関する研究を実施した。
結果と考察
標本数に関する検討では、調査精度の設定により必要となる施設内患者抽出率は異なるが、現行の5/10抽出を基準とした場合でも、5%以上の誤差がみられた。最適調査日の検討では外来患者数と入院回数には季節による相違はなかったが、在院患者数は有意に少なかった。医療機関の専門化等の社会環境・医療の変化に対応した調査設計では、日本の病院は、急性期、長期型、外来型の3つのタイプから成り、歴史的に次第に分化したという事情をふまえた調査設計が必要であることがわかった。記入者負担軽減を考慮した調査票の検討では患者の氏名や年齢等の基本情報は、殆どの施設で電子化されていたが、紹介の有無や救急等に関する情報は、規模に関わらず殆どの施設で電子化されていなかった。総患者数推計の検討では少なくとも生活習慣病や慢性疾患の総患者数については、31日以上の受診者も含めた推計を行うべきであると考えられた。救急の取扱に関する予備的検討では救急の状況に関する質問項目において、患者調査と医療施設調査との間に相関が見られなかった。総患者数算出新方式研究では「総患者数=診療間隔×外来患者数・診療日数」を提案した。救急患者の分析に関する研究では時間外の患者の相関は、医療施設調査が多く、明らかに非救急患者を含んでいると考えられた。
結論
疾病構造は変化し、生活習慣病に加えて生活不活病等の新しい概念が提案され、病院の機能分化が進行し、週休二日制の進行とともに開業時間も短縮している。また、医療安全や医療の質への国民の関心が高まり、行政の役割に対する期待も大きく変化している。次回の患者調査からは救急患者数の把握法や複数傷病の調査法、総患者数算出方式について見直しをする必要がある。

公開日・更新日

公開日
2006-07-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-01-19
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500068C