ソーシャル・インクルージョンの諸アプローチとその効果及び国内施策への適用可能性についての研究

文献情報

文献番号
200500064A
報告書区分
総括
研究課題名
ソーシャル・インクルージョンの諸アプローチとその効果及び国内施策への適用可能性についての研究
課題番号
H17-政策-024
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
宮本 太郎(北海道大学大学院公共政策学連携研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 芝田 文男(北海道大学大学院公共政策学連携研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
2,485,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
自立の条件を欠いた市民に社会的保護を提供するだけではなく、その社会的参入を可能にする条件を提供しようとするソーシャル・インクルージョン政策について、多義的であった概念を整理したうえで、各国における経験を比較分析し、そこからいくつかのアプローチを抽出する。そして、各アプローチの理念の優劣だけではなく、その政策パフォーマンスを評価し、国内の制度や先進的取り組みともつきあわせながら、国内政策への適用可能性を検討する
研究方法
研究計画の初年度として、各国の事例やデータを収集、整理して分析枠組みを構築しつつ、他方でソーシャル・インクルージョンの異なったアプローチについて、そのパフォーマンス比較のための指標を検討する。とくにスウェーデン、イギリス、ドイツという異なったタイプの福祉レジームにおける政策展開を比較して、当該施策とその背後のレジームとの関連についても考察する。
結果と考察
各国で展開されているソーシャル・インクルージョン政策には異なったアプローチが発見された。イギリスなどでは、就労支援中心のアプローチで、就労努力を怠った場合の保護給付打ち切りなど、ペナルティも重視する対応がなされている。このアプローチは就労者を拡大するうえでは効果的であるが、離職者も多いことが観察される。北欧などでは、職業訓練等に加えて生涯教育など間接的な支援に力点をおいた、ペナルティの少ないアプローチがみられる。高コストであるが相対的に離職者は少ない。
結論
 生活保護受給者の就労支援事業などをみるかぎり、わが国におけるソーシャル・インクルージョン政策は、イギリスのようにペナルティを重視するタイプでもなければ、北欧のように高コストで公的支援を展開するタイプでもない。この両者の中間で様々な模索を続けている段階にあるといえる。次年度は、評価枠組みをさらに発展させながら、効果を挙げている事例を抽出していく。

公開日・更新日

公開日
2006-05-30
更新日
-