生活保護における自立支援プログラムの検討

文献情報

文献番号
200500063A
報告書区分
総括
研究課題名
生活保護における自立支援プログラムの検討
課題番号
H17-政策-022
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
布川 日佐史(国立大学法人静岡大学 人文学部)
研究分担者(所属機関)
  • 木下秀雄(大阪市立大学大学院法学研究科)
  • 瀧澤仁唱(桃山学院大学法学部)
  • 武田公子(金沢大学経済学部)
  • 前田雅子(関西学院大学法学部)
  • 上田真理(福島大学行政政策学類)
  • 嵯峨嘉子(大阪府立大学人間社会学部)
  • 嶋田佳広(札幌学院大学法学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
4,615,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、生活保護における自立支援プログラムに関する包括的な政策提言をめざすものである。これによって、生活保護制度を「利用しやすく、自立しやすい制度へ」改革するあゆみの支えとなることを目指している。
研究方法
 各地の福祉事務所における取り組みを把握するため、30ヶ所を超える福祉事務所の担当者へのヒアリングを行った。その他、NPO、自治体の雇用対策担当者、ハローワークの担当者などへのヒアリングも行った。その際、ケースワーカーの視点から、自立支援プログラムを援助の方法手段と位置づけ、積極的に活用している福祉事務所の実践に着目した。
また、ドイツとの比較研究をもう一つの柱とし、「求職者基礎保障法」に関する現地調査を行なった。
結果と考察
 自立支援事業は初年度として就労支援事業を優先する形で始まった。成果として就労した人の数が一定数に上っている。従来の対応が不十分だったことの現れであるが、結果を数字だけで評価することは問題である。就労意欲の低い人の意欲をいかに高めるかが課題なのであり、就労支援(「働くための福祉」)として日常生活の支援等の充実が問われているのである。
 他方で、受給者の生活面での援助に取り組み始める福祉事務所や、地域で「生活する力」を育む事業に取り組んでいる福祉事務所など、広義の自立支援において今後の手がかりとなる芽が育ち始めていることを明らかにした。また、ドイツにおける新たな政策展開と比較することによって、日本の自立支援プログラムの実施に伴う課題と共通する多くの論点に関する検討を深めた。
結論
 自立支援に取り組む中で福祉事務所ごとの姿勢の違いが顕在化している。また、ハローワーク、社会福祉士会、カウンセラー協会、NPO、民間再就職支援会社などが関わった多様なサービス提供が始まったが、サービス提供者によって援助の内容や質が異なっている。  
 生活保護制度を「利用しやすく、自立しやすい制度へ」改革するには、現場が努力して作り出してきた萌芽を高く評価し、その一般化を推進しなければならない。そのためには、自立支援プログラムの拡充を基にして、生活保護法の中に、ケースワークを始めとする対人サービス、自立支援サービスを明確に位置づける必要がある。

公開日・更新日

公開日
2006-07-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-09-27
更新日
-