生活保護の相談援助業務に関する評価指標の開発と、指標の業務支援ツールとしての応用に関する研究

文献情報

文献番号
200500062A
報告書区分
総括
研究課題名
生活保護の相談援助業務に関する評価指標の開発と、指標の業務支援ツールとしての応用に関する研究
課題番号
H17-政策-020
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
森川 美絵(国立保健医療科学院 福祉サービス部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡部 卓(首都大学東京 都市教養学部)
  • 新保 美香(明治学院大学 社会学部)
  • 根本 久仁子(聖隷クリストファー大学 社会福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
2,130,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生活保護における相談援助の質向上にむけ、その評価項目・指標の開発、および、業務支援ツールとしての応用可能性の検討を目的とする。
研究方法
研究予定期間は3年。研究は三つの柱からなる。
1.生活保護における相談援助の位置づけの把握、評価項目案の策定。
2.評価項目の信頼性・妥当性の検討(項目精選、項目を用いた質問紙調査の実施)。
3.業務支援ツールとしての応用可能性の検討。本年度は、Ⅰについて5つのサブテーマを設定して取り組んだ。
a.法制度の展開をふまえた、生活保護における相談援助の位置づけの理論的検討。
b.地方自治体レベルでの業務の標準化・質向上の取り組みの概況把握。全都道府県指定都市(61カ所)を対象に、業務マニュアルの策定状況や相談援助充実への取り組み状況についてアンケート調査を実施し、あわせてマニュアルを収集した。有効回答数(率)56(91.8%)。
c.生活保護の援助充実の具体例の把握(2指定都市にヒアリング)。
d)生活保護における相談援助の評価の基本枠組みの策定。
e)生活保護における相談援助過程の活動項目化。相談援助を過程と局面の軸で整理し、実務家3人を交え、各過程の各局面における活動を項目化した。
結果と考察
a.生活保護における相談援助は、近年ソーシャルワークとしての役割を一層増している。
b.アンケート調査では、相談援助充実にむけて「何らかの取り組み」をしている自治体が多いことが、他方、マニュアル分析からは、相談援助に言及しているマニュアルが全体の3分の1程度にとどまるなど、相談援助の体系的言語化が進んでいない状況が、示された。
d.相談援助の評価の視点として援助過程の質、成果、当事者視点の重要性が確認された。
c.ヒアリングでは、援助業務の標準化にむけた自治体独自の有意義な取組が確認された。
e.相談援助過程は、活動の各過程の各局面における標準的かつ重要な活動事項が一覧できる「援助過程一覧 項目案」としてまとめられた。
結論
生活保護の相談援助活動は、重要性を増し多様に展開している一方で、体系的な言語化が進んでいない。「活動過程一覧 項目案」は、相談援助の評価の前提として求められる、相談援助の体系的言語化に寄与する。項目案について、質評価の指標としての妥当性・信頼性をより高めることが、来年度以降の課題である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-12
更新日
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