非典型労働が典型化する時代の社会保障

文献情報

文献番号
200500053A
報告書区分
総括
研究課題名
非典型労働が典型化する時代の社会保障
課題番号
H17-政策-008
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
古郡 鞆子(中央大学 経済学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
2,430,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 就業形態の多様化、労働の非典型化は今後さらに進んでいくと思われる。本研究の目的は、長期雇用・典型労働者を前提として社会保障制度を見直し、非典型労働者の増加による就業形態の多様化を考慮した社会保障制度・政策を検討することである。
研究方法
 第一に、文献研究を行う。第二に、非典型労働者の就労状況、意識、行動および企業内福祉の現状を把握し、個人(労働者)と組織(企業)がそれぞれ社会保険に関し、どのような問題を抱えているかの分析を行う。第三に、非典型労働者の諸問題がもっと極端な形で表出しているアメリカの現状とそれらへの労働組合その他の機関の取組み状況を調査する。最後に、非典型労働者の問題と関連し、社会保障、社会保障政策、社会保障制度に対し、いくつかの見直し、改革の提言をする。
結果と考察
 非典型労働者には社会保険に入らなかったり、適用条件を満たしていても保険の適用を受けていなかったりする人がいる。一方、企業における非典型労働者の活用には、社会保険料の負担増を回避するための行動となってきている側面も出てきている。
 非典型労働者は、いま、労働弱者の傾向を強めている。その傾向はわが国よりアメリカではもっと顕著な形で表出している。アメリカで恒常的に臨時雇いとして使われている人たちの労働環境の調査、労働者の保護施策の現状を分析すると、そこにわが国の非典型労働者の明日を見る思いもする。
 非典型労働者が増加し、典型化するのは時代の潮流である。この事実に鑑みたとき、労働条件にしても、社会保障にしても、簡素で、労使にとってわかりやすく、労働者を一元化して扱う制度にしていく必要があるのではないかと思われる。
結論
 社会保障制度を多様な動き方に対応できる制度にすることが必要である。現在の正規労働、長期雇用関係を軸にした社会保障制度は、多様化する労働者を包括的に管理できるようなものに変えていかないと、制度そのものが崩壊しかねない恐れがある。

公開日・更新日

公開日
2006-05-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500053C