将来人口推計の手法と仮定に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200500035A
報告書区分
総括
研究課題名
将来人口推計の手法と仮定に関する総合的研究
課題番号
H17-政策-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
金子 隆一(国立社会保障・人口問題研究所人口動向研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 石井 太(国立社会保障・人口問題研究所企画部 )
  • 岩澤 美帆(国立社会保障・人口問題研究所人口動向研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
9,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
少子高齢化が進み、人口減少が始まろうとする現在、将来推計人口の重要性はかつてない高まりを見せている。しかし前例のない出生低下、長寿化、さらに国際化は、人口動態の見通しをきわめて困難なものとしている。本研究は、科学的推計の在り方を包括的に検討し、その新たな枠組みを構築することを目的として、(1)有効な手法の探索・応用・開発を行い、(2)出生低下、長寿化、人口国際化に対する研究分析と動向分析を行う。
研究方法
本研究においては、第一に1)コーホート要因法の再検討を行い、さらに2)確率推計手法、3)計量経済学的手法、4) シミュレーション技法等の有効性を検討する。第二に人口動態率推計の先端的な手法、モデルについて、従来の方法との比較、有効性と限界の検証等を行う。また、近年の出生低下、長寿化に関する理論を検討し、応用の可能性を検討する。第三にわが国と諸外国の人口状況と動向の国際的、横断的把握と分析を行う。
結果と考察
まず将来人口推計の役割、課題等についてまとめた。次に各国公的推計の手法、仮定等について比較した。また確率推計を検討し、その有効性を確認した。出生動向については若年世代での新たな変動要因監視の必要性がわかった。死亡率については要因分解により動向の把握に努め、特に高齢死亡変化の実体を探り検討した。国際人口移動については補充移民について国連の推計結果と問題点を検討し、わが国についても計算を行った。本年度は、各国推計の精査、枠組みの検討、出生・死亡・国際人口移動の動向分析とモデル、仮定設定の課題の検討、新たな方式の開発等が行われた。人口推計は(1)すでに技術的に確定した機械的な部分と、(2)開発を要する技術的部分、(3)将来を見通すための実体人口学の部分に分けられ、本研究が行うべきは(2)と(3)である。本研究は最先端の技術を追求するものであり科学的な人口推計手法の発展に寄与するものである。
結論
本年度は、将来人口推計に必要な領域を網羅する形で、従来のモデルの課題の検討と改良、ならびに動向分析と仮定設定の検討を行った。その結果、推計手法には未だ多くの技術的改良の余地があり、いくつもの改良の試みが行われた。また動向分析を通して、出生、死亡の実体変化についてこれまで知られない法則性の発見にも迫っている。今後さらに研究を進め、将来人口推計の技術水準を高めて、社会的責務の遂行に資するものとしたい。

公開日・更新日

公開日
2006-06-21
更新日
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