自営業者と公的年金制度

文献情報

文献番号
200500034A
報告書区分
総括
研究課題名
自営業者と公的年金制度
課題番号
H17-政策-013
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
岩村 正彦(東京大学大学院法学政治学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 関 ふ佐子(横浜国立大学大学院国際社会科学研究科)
  • 稲森 公嘉(京都大学大学院法学研究科)
  • 関根 由紀(神戸大学大学院法学研究科)
  • 渡邊 絹子(東海大学法学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,692,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、現在公的年金の一元化の議論において焦点となっている国民年金の第1号被保険者のうち、とくに自営業者に着目して、比較法的観点も取り入れつつ、公的年金制度の自営業者への適用、給付水準、保険料(率)水準、保険料徴収の方法等について、今後の法制度設計の方向性を模索・検討することを目的とする。
研究方法
 本研究で用いる研究方法は、①わが国の公的年金制度の下での自営業者の扱いに関する文献・資料収集、既存の研究業績の検索・分析、②フランス・アメリカ合衆国・ドイツ等の欧米主要国における自営業者の公的年金制度の位置づけに関する調査・研究、という要素で構成され、この2つの研究の成果を基礎に、わが国の自営業者に関する公的年金制度の特徴と問題点の解明、および比較法的な検討の成果にもとづいた今後の法制度設計の方向の模索・検討行う。
結果と考察
わが国の基礎年金制度における第一号被保険者の法律上の概念の定義は、被用者集団に属する者以外の者という消去法によっており、地域保険的な構造を採用したところに特徴がある。外国法研究からは、自営業者という職域に着目した制度をとる国(フランス、ベルギー)がある一方、アメリカのように被用者、自営業者を区別しない公的年金制度を有する国があり、イタリアのように、自営業者について、独特の公的年金制度を組み立ている国もあることが明かとなった。また、ドイツでは、自営業者は基本的には任意加入の対象にとどまり、自営業者の数が少ないスウェーデンは、確固たる税制度を背景に、公的年金の保険料徴収事務でも自営業者の把握がなされている。
結論
第一号被保険者については、自営業者の年金制度という角度から制度設計を模索してみる可能性が示唆された。外国法研究の知見からは、自営業者について職域を軸に制度構築をする可能性や、イタリアの制度についてより研究を深める必要性、自営業者については税との連結がどの国でも問題となっいること、などの示唆を得ることができた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
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