医療等の供給体制の総合化・効率化等に関する研究

文献情報

文献番号
200500026A
報告書区分
総括
研究課題名
医療等の供給体制の総合化・効率化等に関する研究
課題番号
H16-政策-019
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
島崎 謙治(国立社会保障・人口問題研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 郡司 篤晃(聖学院大学大学院)
  • 大和田 潔(東京医科歯科大学)
  • 松本 勝明(国立保健医療科学院)
  • 佐藤 雅代(北海道大学公共政策大学院)
  • 泉田 信行(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 山本 克也(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 米山 正敏(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 尾澤 恵(国立社会保障・人口問題研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,317,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療の適正化・効率化を図ることは医療政策上の喫緊の課題であるが、そのためには、医療保険サイドの改革だけでなく、介護、保健を含む医療供給体制のあり方を見直すことが必要不可欠である。また、国民の医療等に対する満足度を高め将来不安を払拭するためには、高齢社会における医療等の提供体制のあるべき姿を明示し、その実現に向けて具体的な政策を早急に打ち立てる必要がある。本研究は、このような問題意識の下、わが国の医療等の供給構造の特徴と問題点を分析し、あるべき方向性(グランドデザイン)を明らかにするとともに、現実との乖離とその原因等の分析を通じ、そのギャップを埋めるための政策手段の検討と政策提言を行うことを目的とする。
研究方法
医学、看護学、経済学、社会学、法学等の学際的な観点から、文献研究、諸外国やわが国の先駆的取組みを行っている地域のフィールドワークなどを行い、①医療等の供給体制の構造分析とあるべき姿に関する理念的検討、②あるべき姿と現実の乖離とその原因等に関する実証的検討、③あるべき姿を実現するための政策手段の検討と政策提言を行う。
結果と考察
(1)医療供給体制の課題として医療機関等の機能分化は避けて通れないが、それだけに連携の重要性が増す。しかし、多くの地域では連携体制がきちんと組まれていない上、患者が最適な医療機関の選択等につき相談できる“コンサルジェ機能”が不十分である。
(2)地域の医療資源の集積度合、人口や地理的条件、医師会や基幹的病院の取組等の相違により、地域包括ケア体制の組み方は一様ではなく、幾つかのパターンに類型化できる。尾道モデルや船橋モデルのような「連携・ソフトネットワーク型」は、多くの医療機関が競合状態にある都市部において普遍性・汎用性を有する。
(3)医師と患者の関係は、一般に準委任契約だと考えられているが、準委任契約上の善管注意義務から厳格な忠実義務が派生すると考えるのは無理がある。また、連携の重要性の増大は、1つの医療機関・医師で完結せず、複数の医療機関・医師、関係多職種との関係が生じることを意味する。
結論
(1)医療供給における連携体制の構築と患者の適切な医療機関の選択のためには、プライマリ・ケア又は家庭医を医療政策上正面から位置づけることを検討する必要がある。
(2)「連携・ソフトネットワーク型」の地域包括ケア体制には、医師をはじめとする関係多職種の問題意識の共有が非常に重要である。
(3)医師と患者の関係における情報伝達義務や、誰がどのような責任をどの時点まで負うのかなどについては、法的に再構成する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2006-04-27
更新日
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