健康効用値を用いた政策評価に関する研究

文献情報

文献番号
200500023A
報告書区分
総括
研究課題名
健康効用値を用いた政策評価に関する研究
課題番号
H16-政策-016
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
上村 隆元(杏林大学医学部衛生学公衆衛生学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 森口 尚史(東京大学先端科学技術研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1、 健康寿命の定量的手法(健康効用値)の検証。
2、 地域コホート集団へ健康つくり(介入)を行い、健康効用値を用いて健康寿命の延伸を評価する。
3、 疾患群(慢性疾患通院患者、脳血管障害急性期の入所者、C型肝炎患者)に対し治療の時系列で経時的観察を行い、健康効用値によるテクノロジーアセスメントを行う。
研究方法
1、 G県T市K町在住の住民(入所者を除く)人口約4500名
2、 S県Y市在住の慢性疾患による通院患者集団(入所者を除く)
3、 N県内複数施設における急性期脳血管障害患者でリハビリテーションを受けている集団。
上記の3集団を主な観察対象集団として個人属性の収集とHUI(Health Utilities Index)とEQ5Dを用いた健康効用値調査を進める。地域コホート集団に対しては既存の行政主体の健康つくりを補強増幅する形で緩やかな介入を行い、10年視軸での健康効用値とQALY増分を評価する。臨床集団においては臨床医や地域医師会と協力体制を敷き慢性疾患が通院要因となっている集団においてQOLに最も影響を与える要素を抽出する。急性期脳血管障害患者ではリハビリテーションのもたらす中長期的予後をQALYSをアウトカムとしたテクノロジーアセスメントの手法で検討する。
結果と考察
地域コホート集団に対しては昨年度に続き行政・研究者・住民が一体となった研究体制を敷いた。感覚器・運動器の障害(HUIのQOL寄与領域のうちVision, Hearing, Ambulationに強くインパクトを与えるもの)に照準を絞った健診を老健法による基本健診と別の全地域高齢者を対象とした健診を目標人数の50%まで終え本年度夏には全数終了予定。臨床集団においては健康効用値に強く影響するものは慢性的感覚器障害による通院要因であることが判明した。脳血管障害患者の急性期リハビリテーションを費用対効果を中心とした評価を行うと十分に効果的な医療であることが判明した。C型肝炎患者に対する治療法の選択に健康効用値と遺伝子形の相違を用いオーダーメード方式でモデルを構築し妥当性を得た。
結論
1、 医療政策の違いや地域差による健康度の差異は、長期的な観察により健康効用値およびQALYSを用いて評価できると予測されている。
2、 健康効用値やQALYSのような大局的な指標を用いることの意義は、いわゆるLife course epidemiologyの視点から、乳幼児期・学童期に始まる健康教育などの効果を生涯を通じて評価する研究インフラが重要である。
3、 本年度は2/3年目の報告であるが以降の経年的観察が更に重要な意味を持つ。

公開日・更新日

公開日
2006-04-25
更新日
-