男性の育児休暇取得を促進する具体策に関する調査研究

文献情報

文献番号
200500022A
報告書区分
総括
研究課題名
男性の育児休暇取得を促進する具体策に関する調査研究
課題番号
H16-政策-015
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
岩男 壽美子(武蔵工業大学環境情報学部)
研究分担者(所属機関)
  • 国広 陽子(武蔵大学社会学部)
  • 高山 緑(武蔵工業大学環境情報学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
1,628,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、「男性の育児休業取得率10%」という政策目標を達成するための具体的かつ実効性のある方策を提案することである。3ヵ年計画の2年目にあたる平成17年度は、事業主へのヒアリング調査および男性の育児休業取得者と希望しながら取得しなかった男性へのヒアリング調査を実施し、男性に取得しやすく、事業主の納得を得やすい育児休業のあり方と、育児への参画経験が男性に与える影響について詳細な質的情報を得ることを目指した。
研究方法
男性の育児休業取得者13名、非取得者6名の計19名に対するヒアリングと、これらの男性が勤務する14事業所の人事担当者または上司へのヒアリングを実施した。内容には、育児休業取得から得られる個人的メリットと仕事上のメリット、多様な休業制度のメニューの評価、同僚、上司などの反応等が含まれる。録音したヒアリング内容を起こしたものから個人や事業所を同定できる情報を削除し分析に用いた。
結果と考察
ヒアリングの結果、未だ男性の育児休業取得は「普通のこと」にはなっていない実態が浮き彫りになった。同時に、育児休業取得から次のようなメリットが得られることが明白に示された。①男性は育児に責任をもつことを通じて、人間としてまた親として成長するだけではなく、配偶者との信頼関係の深まりや子どもとの良好な関係が築けたことを実感していた。②仕事面では効率的なメリハリの利いた働き方への変化、生活者の視点にたった商品企画の提案、部下や得意先とのコミュニケーション能力の向上などが体験されていた。問題点としては、減収と人事評価への影響を懸念する声がきかれた。また、現実的で実行可能な選択肢として「短期の休業」が有効であることが示された。更に、取得には上司の役割が極めて重要であることが確認された。
結論
育児休業取得者たちは、その体験を通じて子どもや配偶者との良好な関係を構築できているばかりでなく、仕事に対しても自信を持ち、積極的に取り組んでいる様子が伝わってきた。つまり、職場と家庭は密接不可分の関係にあり、職場で存分に能力を発揮してよい仕事をするには、家族との良好な関係と家庭に居場所がきちんとあることが必要なことが示された。また、事業所間はもとより、事業所内でも取得体験や支援に関する情報が共有されておらず、共有化へのニーズが高い。この点は3年目の研究で応える計画になっている。

公開日・更新日

公開日
2006-04-13
更新日
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