医師供給政策の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200500020A
報告書区分
総括
研究課題名
医師供給政策の評価に関する研究
課題番号
H16-政策-010
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
小林 廉毅(東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 大森 正博(お茶の水女子大学生活科学部)
  • 井上 和男(東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,360,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の医師数は過去30年間で約13万人から約26万人へと倍増したが、ここ数年に限ってみても、特定の診療分野での医師不足、新しい臨床研修制度による影響などが指摘されており、へき地の医師問題も依然として深刻である。本研究は、国の行う医師調査データの解析、個別の医育機関の卒業生に関する資料の調査、不足している診療分野における調査、文献レビュー等による公共経済学的分析等を行って、1970年代以降のわが国の医師供給政策の評価を行うことを目的とする。
研究方法
前年度得られた結果を詳細に分析するとともに、目的外使用申請によって「医師・歯科医師・薬剤師調査」の匿名化された医師個票データを得て、これを用いた分析を行った。また、医師の分業体制に関する公共経済学的分析を加えた。
結果と考察
本年度の研究成果は以下のとおりである。(1)公共経済学の観点から医師の分業体制について検討した結果、医師の供給数と同様、適切な政策的介入が必要であることが示唆された。(2)卒後早期に郡部(非都市部)で診療に従事した医師あるいはプライマリケア関連の診療科の医師は、そうでない医師に比して卒後20年を経た時点で郡部(非都市部)において診療に従事する割合が高かった。(3)女性医師と男性医師の推定労働力率を比較した結果、女性医師のそれは30歳代前半中心に男性医師に比べて1割程度低下するものの40歳代には男性とほぼ同等の値まで回復した。
結論
医師のキャリア選択と密接に関わる卒後早期の非都市部ならびにプライマリケアの研修・診療活動の場を拡充すること、ならびに女性医師の年齢階級別労働力率の変化を医師供給政策へ取り込むことが、今後の医師供給政策において重要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2006-06-02
更新日
-

文献情報

文献番号
200500020B
報告書区分
総合
研究課題名
医師供給政策の評価に関する研究
課題番号
H16-政策-010
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
小林 廉毅(東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 大森 正博(お茶の水女子大学生活科学部)
  • 井上 和男(東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1970年代以降のわが国の医師供給政策の評価を行うことを目的とする。
研究方法
国の行う医師調査データの解析、医育機関の卒業生に関する資料の調査、不足している診療分野における調査、文献レビュー等による公共経済学的分析等を行う。
結果と考察
本研究の成果は以下のとおりである。(1)医師供給政策を「政府が、国民の厚生を目的として、医師の「量」と「質」について政策的介入を行うこと」と定義した上で、政策介入の是非について公共経済学的観点から検討したところ、医師供給数及び分業体制について適切な政策的介入が必要であることが示唆された。(2)医師数の実証分析から、1970年代の医科大学増設等による医師供給政策は全国的な医師供給に対して一定の成果を上げたが、医師の地域偏在や診療科選択の偏りを解消する効果は全体として少なかった。(3)女性医師の推定労働力率は30歳代前半中心に1割程度低下するものの40歳代には回復した。(4)自治医大卒業医師や卒後早期に郡部(非都市部)で診療に従事した医師あるいはプライマリ関連の診療科の医師は、そうでない医師に比して卒後20年を経た時点で郡部(非都市部)において診療に従事する割合が高かった。(5)医師不足の指摘される診療分野の1つとして在宅医療分野に従事する医師の動向を調査したところ、在宅医療従事医師の不足は、医師数が増加すれば徐々に緩和する可能性のあること、いわゆるプライマリケアや総合診療に関する研修や診療経験をもつ医師の増加によっても緩和する可能性のあることが示唆された。新しい臨床研修制度はそのような効果をもつと予想される。
結論
公共経済学の観点に基づく検討から、医師供給数及び分業体制について適切な政策的介入が必要であることが示唆された。医師数の実証分析からは、1970年代の医科大学増設等による医師供給政策は全国的な医師供給に対して一定の成果を上げたが、医師の地域偏在や診療科選択の偏りを解消する効果は少ないことが示唆された。また卒後早期の研修・臨床活動の場や内容とその後の医師のキャリア選択との関連、年代別の女性及び男性医師の労働力率の変化を明らかにした。今後の医師供給政策として、卒後早期の医師の非都市部ならびにプライマリケアの研修・診療活動の場を拡充すること、女性医師の年齢階級別労働力率変化を医師供給政策へ取り込むことの重要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2006-05-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500020C