リスク管理アプローチを応用した安定的年金制度設計に関する研究

文献情報

文献番号
200500012A
報告書区分
総括
研究課題名
リスク管理アプローチを応用した安定的年金制度設計に関する研究
課題番号
H15-政策-025
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 眞理子(東京大学先端科学技術研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
2,211,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
公的年金制度の財政運営にリスクをもたらすさまざまな要因の影響について分析し、制度を安定的に維持する設計方策について、その方向性、可能性を研究することを目的としている。
研究方法
2003年度、2004年度の研究で構築してきた財政収支モデルを拡充し、モンテカルロ・シミュレーションによるリスク分析を深めるとともに、2050年頃までを展望した政策手段についてシミュレーションによりその影響を検証した。積立金の運用、保険料率の設定と給付・拠出倍率、支給開始年齢の設定と財政収支、報酬比例部分の(バーチャルな形も含む)民営化可能性などを中心に安定化方策の可能性等についての分析を行った。
結果と考察
制度変数や人口シナリオの選択、経済変数についてのモンテカルロ・シミュレーション等が可能な見通しの策定例を示すとともに、これを活用した年金財政分析と安定化方策を考察した。
 今回検証した経済変数の中では厚生年金の財政における賃金上昇率変動の影響が大きく、制度の安定化には厚生年金の所得比例部分のあり方が重要であること、運用の収益率についても動態的なリスクの影響は大きく、的確な運用のあり方を検証してゆくことが緊要であること等が示唆される。
 政策シミュレーションからは、自律的な制度安定化のためには期待給付総額のあり方が重要な変数であること、保険料率への上限設定には、一定の世代間配分の是正効果も期待できるので、今後抜本的な制度変更が展望できるのであれば、当面保険料の上限を引下げて規模を縮小し、将来の制度改革余地を高めることも考えられる。
結論
経済変数に焦点をあてたリスク分析によれば、年々の経済変動は制度全体の財政動向に軽視できない影響を与える。変動を前提とした幅のある見通しを策定する等の方法により現行制度に内在するインプリケーションを多面的に議論し、世代間不公平という不安定性に対しては早急に対処することが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2006-04-12
更新日
-

文献情報

文献番号
200500012B
報告書区分
総合
研究課題名
リスク管理アプローチを応用した安定的年金制度設計に関する研究
課題番号
H15-政策-025
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 眞理子(東京大学先端科学技術研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
公的年金制度の財政運営にリスクをもたらすさまざまな要因の影響について分析し、これを安定的に維持する制度設計について、その方向性、可能性を研究することを目的としている。
研究方法
はじめに、1980年以降の財政再計算を中心に主要な変数に関する想定をその後の実績推移と比較・検証し、リスク要因を分析した。これを踏まえ、2004年改正制度に基づく財政見通しと比較可能な形でのシミュレーションを可能とする財政収支モデルの構築を進めた。国民、厚生年金勘定の財政収支が分析できる年次モデルであり、代替的な経済環境や人口推計の下での感度分析、経済変数の不確実性に関するリスク分析を進め、動態的な財政構造を分析した。併せて2050年頃までを展望した政策手段についてシミュレーションによりその影響を検証し、制度設計のあり方を考察した。
結果と考察
制度変数や人口シナリオの選択、経済変数についてのモンテカルロ・シミュレーション等が可能な見通しの策定例を示すとともに、これを活用した年金財政分析と安定化方策を考察した。
 経済変数に関するリスク分析からは、モデルのパラメータの値などに依存するものの、厚生年金の財政収支における所得変動の影響が大きく、制度の安定化のためには所得比例部分の改革が重要であること、また、運用の収益率についても動態的なリスクの側面が重要であることなどが明らかとなった。
 自律的な制度安定化のためには期待給付総額のあり方が重要であり、これを勘案したルールの策定が考えられる。保険料率への上限設定には、一定の世代間配分の是正効果が期待できる。今後抜本的な制度変更が展望できるのであれば、当面保険料率の上限を引下げて規模を縮小し、将来の制度改革余地を高めることも考えられる。
結論
経済変数に焦点をあてたリスク分析によれば、年々の経済変動は制度全体の財政動向に軽視できない影響を与える。変動を前提とした幅のある見通しを策定する等の方法により現行制度に内在するインプリケーションを多面的に議論し、世代間不公平という不安定性に対しては早急に対処することが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
現行制度と比較可能な厚生年金を中心とする中・長期財政収支モデルを構築し、公的年金の財政構造を分析した。さらに、経済変数に関するモンテカルロ・シミュレーションによるリスク分析や制度変数パラメータの選択による政策シミュレーション等を行い、安定的な制度設計の方策について検証し、今後の方向を考察した。
臨床的観点からの成果
臨床に関する研究ではない。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-