病院ボランティアの導入とコーディネートに関する普及モデルの開発とデモンストレーション

文献情報

文献番号
200500011A
報告書区分
総括
研究課題名
病院ボランティアの導入とコーディネートに関する普及モデルの開発とデモンストレーション
課題番号
H15-政策-022
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
信友 浩一(九州大学大学院医学研究院医療システム学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 安立 清史(九州大学大学院人間環境学研究院 福祉社会学)
  • 稲津 佳世子(九州大学大学院医学研究院 医療ネットワーク学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,351,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
病院ボランティアが急拡大しており、全国で約3割の病院で活動が始まっていると推計される。しかし病院ボランティア活動に関するガイドラインがなく「ボランティアのリスク」に対応したリスクマネジメントが欠落している。そこで米国の病院ボランティア受け入れシステムと日本の先進事例を踏まえて導入とコーディネートに関する普及モデルを開発することを目的とした。
研究方法
米国の病院ボランティアの導入とコーディネートに関するシステムを調査した。また国内の病院ボランティアの導入とコーディネートに関する先進事例を調査した。ついで福岡県内の病院から病院ボランティアの導入を検討している30の病院を選定し、病院ボランティアコーディネーター研修を行い、病院ボランティアの導入にあたっての普及モデルの開発とデモンストレーションを行った。締めくくりとして米国ハワイ州カピオラニ病院の病院ボランティア・ディレクターを招聘して米国の病院におけるボランティアのリスクマネジメントの方法を国際シンポジウムのかたちでデモンストレーションした。またこのモデルを日本の病院ボランティア・ディレクターと検討して導入モデルを作った。
結果と考察
日本と米国とでは、医療システムもボランティアシステムも大きく異なっているが、これからは日本の医療システムもボランティア活動も必ず米国の形に近づいていくことが予想される。すると病院ボランティアのニーズはますます高まるが、現状では日本にボランティア受け入れの標準モデルが存在しない。ボランティア受け入れの責任者の役割モデルも存在せず、ボランティアのコーディネートや運営に関する活動モデルもない。つまりボランティアのリスクマネジメント体制が未整備である。このままでは病院ボランティアが普及するに伴い多くのリスクが発生するおそれがある。ボランティアの促進とリスクマネジメントのためのサポートシステムが必要不可欠である。米国の病院ボランティア・システムは、全米病院協会(AHA)とボランティア・ディレクター協会とが密接に協力してボランティアマネジメントの役割モデルを形成、研修プログラムを開発、資格認定制度まで発足している。
結論
早急に病院ボランティアの定義と活動のガイドラインを策定すべきだ。現状では病院でボランティアには何が出来て、何が出来ないのかガイドラインがない。このままではボランティア導入に伴うリスクが生じる。新たな感染症や個人情報保護法などリスク時代に対応したリスクマネジメントも不足している。リスクマネジメントを行うスタッフを必置し、コーディネーター人材の育成や研修システムも確立していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2006-07-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200500011B
報告書区分
総合
研究課題名
病院ボランティアの導入とコーディネートに関する普及モデルの開発とデモンストレーション
課題番号
H15-政策-022
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
信友 浩一(九州大学大学院医学研究院医療システム学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 安立 清史(九州大学大学院人間環境学研究院福祉社会学)
  • 稲津 佳世子(九州大学大学院医学研究院医療ネットワーク学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
米国の病院ボランティア受け入れシステムの研究と日本の先進事例を踏まえて、日本の病院ボランティア導入とコーディネートに関する普及モデルを開発することを目的とした。
研究方法
(1)日本国内の病院ボランティア活動の現状と課題とを把握するため、NPO法人日本病院ボランティア協会とともに全国の病院ボランティアおよびコーディネーターの実態調査を行った。(2)また米国の病院ボランティア活動に関する統計、先進的な病院ボランティア・ディレクターへの聞き取り調査を行い、全米病院協会認定のボランティア・コーディネーターのためのテキストやマニュアルの翻訳を行った。(3)以上の成果に基づき、福岡県病院協会などを通じてアンケートを行い、病院側のボランティアニーズや導入にあたっての問題や課題の把握を行った。さらに(4)「病院ボランティア・サポーター講座病院」を開催し、病院側関係者の参加を得て、日本国内の病院の実態に即したボランティアの導入とコーディネートに関する普及モデルを開発した。また、米国の病院ボランティア・コーディネーターと日本の病院ボランティア・コーディネーターらとの会合や、国際シンポジウムを開催した。
結果と考察
以下の点が明らかになった。(1)現在、日本では病院ボランティア受け入れの標準モデル、受け入れ責任者の役割モデルボランティアのコーディネートや運営に関する活動モデルが存しない。(2)ボランティアのリスクマネジメントに関する体制が未整備である。
以上の原因といて、ボランティア側にリスクの認識そのものが薄いこと、病院側がリスクに関して敏感であることのギャップが日本の病院ボランティアの普及を妨げていることが考えられた。
結論
現状ではボランティアと「労働」との区別が曖昧で労働組合との軋轢の可能性があるので、早急に病院ボランティアの定義と活動ガイドラインを策定する必要がある。新たな感染症や個人情報保護法などリスク時代に対応したリスクマネジメントも不足しており、リスクマネジメントを行うスタッフの必置や、コーディネーター人材の育成や研修システムを確立する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2006-07-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
日本の病院ボランティアの現状と問題点を調査し、とくにボランティアのリスクとリスクマネジメントのキーパーソンである病院ボランティア・コーディネーターの現状と問題点を調査した。また米国の病院ボランティアシステム、とくに全米病院協会(AHA)とASDVSによる総合的なボランティアマネジメントシステムを調査研究し、その日本への応用となる「病院ボランティアの導入とコーディネートに関する普及モデルの開発」を行った。
臨床的観点からの成果
病院ボランティアの導入にあたってのリスクとリスクマネジメント関する問題提起を行った。全国の病院にたいして専門的なボランティア・コーディネーターの必要性とボランティアのリスクとリスクマネジメントの重要性を指摘した。
ガイドライン等の開発
病院ボランティアの導入とコーディネートに関する普及モデルの開発
病院ボランティアに関する医療機関の受け入れ態勢に関するマニュアルの翻訳、
及び日本の医療機関に該当する部分の応用。
その他行政的観点からの成果
病院ボランティアのリスクとリスクマネジメントに関する問題提起。
日本の医療機関におけるボランティアの受け入れ態勢強化に関するアメリカ型病院ボランティア管理モデルの提唱。
その他のインパクト
『メディカル朝日』2006年5月号で取り上げられた。
病院ボランティア協会の協力の下、病院ボランティアに関する一般市民向け公開シンポジウムの開催し、西日本新聞に取り上げられた。
病院ボランティア・コーディネーター養成に関する医療機関向けの4日間の公開講座を開催し、37名の参加者があった。

発表件数

原著論文(和文)
1件
安立清史「病院ボランティアシステムの政策的な確立を」『メディカル朝日』2006年5月号
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件
病院ボランティア・コーディネーター養成講座の開催。 病院ボランティアに関する一般市民向け公開講座の開催。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-