男性の子どもの価値観と出産・育児に関する研究

文献情報

文献番号
200500010A
報告書区分
総括
研究課題名
男性の子どもの価値観と出産・育児に関する研究
課題番号
H15-政策-021
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
辻 明子(総合研究開発機構研究開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 高崎 文子(清泉女学院大学人間学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
6,472,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今日の少子化現象を緩和するためには、男性の育児関与が重要なポイントであると考えられる。男性に対しても育児休業制度など制度的には育児に参加が可能な環境がととのいつつあるが、なぜ大多数の日本の男性はこうした行動に移行しない(できない)のであろうか。この点を本研究では心理学(動機づけ:動機を持ち行動を起こすまでの心理的過程)の手法を中心に用いて明らかにすることを目的とした。
研究方法
平成17年度は、
1.これまで実施した調査(プレ調査及びインタビュー調査)の分析
2.上記1に基づく調査票を元にしたwebアンケート調査(調査対象者4000人)の実施
を行った。
結果と考察
特徴的なファインディングスとしては、
・男性は自分が育てるという意識がない。
・子どもを持つことについては、子無し、子有りも子どもをほしいと思っている。しかし、行動には結びついていない。子無しは、子どもがいないのでどれぐらい育児が大変かわからない。
・男性は保育園等を教育の場としてとらえている。(雇用の補助ではない。主体的に育児をしていないから)
・育児休暇など制度はあっても、男性は、それを利用する意識が追いついていない。制度の活用は、経済保障やそのその後の仕事の維持がないと難しい。
・一回専業主婦をすると、育児が女の仕事に固定化される。(男性が手伝い程度しても、喜びを感じない。強制されていると負担感ばかりとなりがち)
・次世代育成に取り組む企業については、子有りの正規被雇用者が高い評価をしている。
・次世代育成の認定(厚生労働省)の企業と、ISO1400sの認定(環境に関する認定シリーズ)のある企業では、ISO1400Sの方が企業イメージは良い。
等が挙げられる。
結論
実際に夫も妻と同じように子育てを分担するには、諸制度(育児休業制度など)の活用が重要であるが、制度が整っている勤務先に勤めていてもなかなか活用されていない。活用されるかどうかは(動機づけられるかどうか)は、それを行うことに伴うメリットとデメリットに左右される。インタビュー調査によれば、メリット(子育てに対する意欲の充足)などはそれなりにあるものの、デメリット(取得中の所得がないこと、復帰後の処遇)を非常に強く感じていることがわかった。
「子どもを持つことに関する、目標設定(質も含める)、動機の内発性及びインセンティブ(ディスインセンティブ)」の因果関係と政策インプリケーションの解明が有効な政策対策に結びつく可能性が高いと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2006-05-09
更新日
-

文献情報

文献番号
200500010B
報告書区分
総合
研究課題名
男性の子どもの価値観と出産・育児に関する研究
課題番号
H15-政策-021
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
辻 明子(総合研究開発機構研究開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 高崎 文子(清泉女学院大学 人間学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今日の少子化現象を緩和するためには、男性の育児関与が重要なポイントであると考えられる。男性に対しても育児休業制度など制度的には育児に参加が可能な環境がととのいつつあるが、なぜ大多数の日本の男性はこうした行動に移行しない(できない)のであろうか。この点を本研究では心理学(動機づけ:動機を持ち行動を起こすまでの心理的過程)の手法を中心に用いて明らかにすることを目的とした。
研究方法
平成15年から17年度にかけて次のような方法による研究を実施した。
1.文献研究、
2.調査票を用いたプロトタイプアンケート調査(未婚者用)の実施(調査対象者1112人、20代未婚者)、
3.グループインタビュー調査(男性45人)、
4.調査票を元にしたwebアンケート調査(調査対象者4000人)
結果と考察
子育てはきちんと関与すればそれなりの喜びをもたらされている。とにかく男性に「やらせる」、男性に「やってみてもらう」ことが重要である。男性が手伝い程度しても、喜びを感じず、強制されていると負担感ばかりとなりがちであるから、「きちんと関与すること」そしてそれに対する正当な評価システム(職場及び社会)の構築が緊急の要件となる。またそれらは、「子どもを持たない自由」を担保した上で、制度設計を行うことが重要である。
結論
実際に夫も妻と同じように子育てを分担するには、諸制度(育児休業制度など)の活用が重要であるが、制度が整っておる勤務先に勤めていてもなかなか活用されていない。活用されるかどうかは(動機づけられるかどうか)は、それを行うことに伴うメリットとデメリットに左右される。インタビュー調査によれば、メリット(子育てに対する意欲の充足)などはそれなりにあるものの、デメリット(取得中の所得がないこと、復帰後の処遇)を非常に強く感じていることがわかった。
「子どもを持つことに関する、目標設定(質も含める)、動機の内発性及びインセンティブ(ディスインセンティブ)」の因果関係と政策インプリケーションの解明が有効な政策対策に結びつく可能性が高いと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2006-04-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500010C

成果

専門的・学術的観点からの成果
実際に夫も妻と同じように子育てを分担するには、諸制度(育児休業制度など)の活用が重要であるが、制度が整っておる勤務先に勤めていてもなかなか活用されていない。
その解決策として、「子どもを持つことに関する、目標設定(質も含める)、動機の内発性及びインセンティブ(ディスインセンティブ)」の因果関係と政策インプリケーションの解明を行ったこと。またその他の解決策として民間の活用のあり方を提案していること。
臨床的観点からの成果
以下の点などが明らかになったこと
・育児休暇など制度はあっても、男性は、それを利用する意識が追いついていない。制度の活用は、経済保障やそのその後の仕事の維持がないと難しいと考えている。
・一回専業主婦パートナーシップが形成されると、育児が女の仕事に固定化される。(男性が手伝い程度しても、喜びを感じない。強制されていると負担感ばかりとなりがち)
ガイドライン等の開発
環境面に関する解決策の一つとして、民間の力を用いた、少子化対策(財形育児貯蓄、出産支払い特例付年金)の提案を行ったこと。
その他行政的観点からの成果
本研究で行ったアンケート調査によれば、次世代育成に取り組む企業については、子有りの正規被雇用者が高い評価をしている。次世代育成の認定(厚生労働省)の企業と、ISO1400sの認定(環境に関する認定シリーズ)のある企業では、ISO1400Sの方が企業イメージは良い。
今後、民間企業の子育て支援についてのインセンティブ強化策に関して上記の情報は有用なものとなる。
その他のインパクト
(問い合わせは多数)

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
辻明子・松本高宏
少子化と政策対応の可能性
政策研究 , 19 (2) , 31-40  (2006)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-