診療報酬における医師技術評価に関する研究:内保連-外保連方式

文献情報

文献番号
200500009A
報告書区分
総括
研究課題名
診療報酬における医師技術評価に関する研究:内保連-外保連方式
課題番号
H15-政策-020
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
茅野 眞男(独立行政法人国立病院機構東京医療センター循環器科)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 進(日本大学グローバルビジネス研究科)
  • 清水 恵一郎(阿部医院)
  • 石田 暉(東海大学医学部専門診療学系)
  • 青木 矩彦(近畿大学医学部)
  • 伊東春樹(榊原記念病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
8,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内科系医療技術評価には,外保連方式 とは異なる米国RBRVSで使われた総合負荷が本邦でも使用できるかが焦点であった。
研究方法
平成18年度診療報酬改定に役立つ資料となることを目指した。大学病院や大病院(病床200床以上)の勤務医が所属する学会の連合体である内科系学会社会保険連合(内保連)の協力を得て行った。
結果と考察
外来診療を重点的に解析し、所要時間と難易度(経験年数)と総合負荷の関係を探索的モデル式で評価してきた。 第三年度は複数の統計・行動計量学者に参加してもらい、外来診療を心理尺度比率の面から内科系9部門間の格差に関して検討した。患者対面時間が重要なことがわかったので、いずれも本邦初めての3つの実態調査を追加した。中医協外来診療全国実態調査を使い、米国RBRVSが総合負荷結果を診療実時間表示してきたので、日米病院診療所格差の、紹介・再診・入院診療といった部分の指導管理料まで含めた原価計算を行ない、格差を明らかにした。第二はリハビリ分野で、医師の技術としての「リハビリ処方」を石田がとりあげた。リハビリ処方に要する時間は初診で平均10分(整形外科)から18分(リハビリ)、処方作成行為そのものが治療と考えられた。心臓リハビリでは運動処方の記載および説明に合計35分が費やされるなど処方とそれに続く説明は重要な医療行為であり評価が必要である。第三は高橋がグループで行う透析分野での医師の時間を調査した。
結論
医師技術料評価に関して1. 外来診療必要及び実態時間調査において、診察時間以外に症例難易度も総合負荷(医師技術料)に大きな影響があることが分かったが、それらを外来診療報酬に反映させるのは難しかった。平成18年度診療報酬改定に対してはいろいろな提案が可能であったが、まずは時間当り診療報酬額の病院診療所間格差の是正と、神経内科診察時間に対する早急な対処の二つを、内保連から厚生労働省へ提出した。 2. グループ診療におけるリハビリでは、リハビリ処方は初診でも10分以上の時間を要し、診療報酬の中にドクターフィーとしての処方料の新設がなされるべきである。

公開日・更新日

公開日
2006-08-14
更新日
-

文献情報

文献番号
200500009B
報告書区分
総合
研究課題名
診療報酬における医師技術評価に関する研究:内保連-外保連方式
課題番号
H15-政策-020
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
茅野 眞男(独立行政法人国立病院機構東京医療センター循環器科)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 進(日本大学グローバルビジネス研究科)
  • 石田 暉(東海大学医学部専門診療学系)
  • 清水 恵一郎(阿部医院)
  • 青木 矩彦(近畿大学医学部)
  • 伊東 春樹(榊原記念病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療技術評価に関して内科系学会社会保険連合(内保連)として 難易度・時間・技術力の他に、“総合負荷”を内科医が欲しい技術料に相当すると解釈し検討した。
研究方法
方法論は米国Medicareの診療報酬支払いで使われた“総合負荷”つまりRBRVS(resource based relative value scale)という計量心理学的尺度で測定した。内科系9専門部門(循環器・神経内科・消化器・腎透析・開業医・リハビリ・心臓リハビリ・呼吸器・内分泌)で900設問を作り解析した。回答者は大学病院や病床200床以上の大病院に勤務する内保連委員だが、診療所代表として臨床内科医会も参加している。中医協診療報酬調査専門組織医療技術分科会の依頼により平成17年1月に内保連が調査実施した外来診療全国実態調査の個票データをもらい解析した。米国RBRVSでも2005年から総合負荷の他に対面時間を発表したので、実態時間調査から、大病院と診療所の管理指導料を含めた単位時間あたりコスト(診療報酬額)を計算した。
結果と考察
外来診療304設問での総合負荷値を従属因子として扱う線型一次式モデルを作成し、説明因子に時間のほかに難易度(担当医の経験年数ではなくて診療結果に責任のとれる医師の卒業年数)を加えることによいモデルになった。考察として1)負荷値の9部門間の補正のため心理的尺度比率問題が解決される必要がある。2)症例難易度を外来診療報酬に反映させるのは難しい。2.外来診療時間実態調査の結果、診察合計時間に大きなばらつきがあった。大病院における診察時間の中央値は、紹介有初診で20分、診断確定(継続)再診で8分と短かった。一時間あたり診療報酬額(外来初再診料のほかに指導管理料等を含む)たる“比較係数(単位万円)”は、初診紹介有りの場合、日本診療所・米国病院診療所は2.0-3.3に対して日本大病院1.4と低くかった。継続再診は日本診療所・米国病院診療所は2.3-5.5に対し日本大病院1.7である。リハビリ処方に要する時間は初診で平均10分(整形外科)から18分(リハビリ)、再診で平均6分(整形外科)から9分(心臓リハビリ)。持続緩徐式血液濾過術の全国調査を行なった。
結論
医師技術料評価に関して 外来診療必要及び実態時間調査により、診察時間以外に症例難易度も総合負荷(医師技術料)に大きな影響があることが分かったが、それらを外来診療報酬に反映させるのは難しかった。今後の方向としててresourceのみでは限界があり、outcome researchが必要であると思われた。

公開日・更新日

公開日
2006-08-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
米国RBRVSで使われた計量心理学的概念の総合負荷が本邦の内科系医療技術評価にも使用できるかが目的であった。外来診療の総合負荷の説明因子に時間のほかに難易度(担当医の経験年数ではなくて診療結果に責任のとれる医師の卒業年数)を加えることによりmodel決定係数は50%以下から75%とよくなった。診察合計時間を考慮せず初再診の2区分しかない現在の報酬体系は不合理である。方法論的に各科間の計量の調整方法が未解決であった。
臨床的観点からの成果
下記依頼で、内科系外来技術の難易度及び時間に係る調査をもおこない、大病院・診療所別の、一時間あたり診療報酬額(外来初再診料のほかに指導管理料等を含む)を“コスト比較係数(単位万円)”として算出した。初診紹介ありの比較係数は、日本診療所・米国病院診療所は2.0-3.3に対して日本大病院1.4と低くかった。継続再診は日本診療所・米国病院診療所は2.3-5.5に対し日本大病院1.7で低く、指導管理料にまで踏み込んだ改正が必要であると提言した。
ガイドライン等の開発
平成18年度診療報酬改定に役立つ資料となることを目指した。
1.中医協診療報酬調査専門組織医療技術第1回分科会2005年4月22日で発表。
2.同分科会2005年6月16日で中医協診療報酬調査専門組織医療技術分科会の依頼により平成17年1月に内保連が調査実施した外来診療全国実態調査である内科系外来技術の難易度及び時間に係る調査を報告、「内科系外来技術の難易度及び時間に係る調査」調査実施委員会委員長 : 茅野 眞男。6月29日の中医協基本問題小委員会で報告された。
その他行政的観点からの成果
平成18年度診療報酬改定で初診料の病院診療所格差は無くなったが、上記コスト比較係数の改善には紹介加算がなくなり、かえって悪化した。
リハビリテーション処方(指示)料として、中医協診療報酬調査専門組織医療技術分科会の一次評価に選択されたが、最終的には採択されなかった。心臓リハビリの適応拡大啓蒙に役だった。
研究終了に当たって今後の方向としてresourceを測定するのみでは限界があり、outcome researchが必要であると思われた。
その他のインパクト
1)平成18年度診療報酬改定 私はこう見る「初診料の是正は評価 紹介加算廃止は不満」
週刊/日本醫事新報,4270:81,2006年2月25日茅野 眞男
2)病院の診療時間にばらつき・診断確定の前後などで格差
日経メディカル 451:41-42, 2005年6月茅野 眞男
3)特集 どうなる06年度診療報酬改定「外来 初再診料のあり方が論点に在宅、連携に手厚い評価も」日経ヘルスケア21. 10月号:28-29.2005

発表件数

原著論文(和文)
1件
連載特集 06年改定を予測するⅦ 「医療技術・診察時間をどう評価するか:外来診察料の大病院・診療所格差」 月刊/保険診療・1月号:34-38.2006
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
医師技術評価と外来診療報酬支払い 医学書院 「呼吸と循環」 53(7): 671, 2005茅野 眞男
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
第43回日本病院管理学会学術総会 茅野 眞男 『内科系外来診療において医師経験年数が多くても診察時間は短くならない』 2005年10月27日
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
平成18年度診療報酬改定で初診料では病院診療所格差が無くなった。
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-