文献情報
文献番号
200500004A
報告書区分
総括
研究課題名
政策評価における実績評価のあり方に関する研究―評価指標の見直しと評価結果の活用方法の検討を中心に―
課題番号
H15-政策-019
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
池田 俊也(慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室)
研究分担者(所属機関)
- 大久保 一郎(筑波大学社会医学系)
- 福田 敬(東京大学大学院薬学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,020,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
厚生労働省が行う政策評価には、事業評価・実績評価・総合評価の3方式がある。本研究の対象である実績評価は、実績値に基づく評価方式である。本研究では、厚生労働省の「実績評価書」に対して問題点の抽出や具体的な改善策を提示することを目的とし、理論研究と実証研究を行った。理論研究では「政策評価の目的」を明らかにし、その目的を満たすために政策評価がどのように行われるべきかという「政策評価の枠組み」を考察した。また、実証研究では、厚生労働省の「実績評価書」が「政策評価の目的」に沿ったものであるかを個々の「実績評価書」から検証し、具体的な問題点を抽出して改善策を提言することとした。
また、政策評価を行うためには適切な評価指標を用いることが望まれる。そこで、厚生労働省の統計資料を活用する具体的な事例として、医療施設調査・病院報告の個票データを用いた検討を行うこととした。
また、政策評価を行うためには適切な評価指標を用いることが望まれる。そこで、厚生労働省の統計資料を活用する具体的な事例として、医療施設調査・病院報告の個票データを用いた検討を行うこととした。
研究方法
第一に、「政策評価の目的」について、「政策評価に関する標準的ガイドライン」(政策評価各府省連絡会議了承、2001)を土台にして、既存研究で示されている視点を加えて整理した。第二に、厚生労働省の「実績評価書」を評価する手法として、上記の枠組みに沿って政策評価が行われているかを検証するための「チェックシート」を新たに作成した。第三に、「医療施設静態調査」と「病院報告」の個票データ、「人口推計年報」、「民力:都道府県別民力測定資料集」の集計データを用いて、政策指標として、二次医療圏単位での医療提供体制の充実、ならびに、外来患者数増減に関わる分析を行った。
結果と考察
政策評価が「国民の意思決定に役立つ情報を提供すること」という目的を果たすためには、4つの枠組み(「前提」→「理論モデル作成」→「実績値測定」→「評価・分析」)に沿って実施される必要があることを明らかにした。これに基づき、「チェックシート」により厚生労働省の実績評価書を2事例検証したところ、(1)「ロジック・モデル」(特に「因果関係の説明」)が不十分、(2)「目標設定」が不十分、(3)「測定結果についての考察」が不十分、などの問題点が明らかとなった。さらに、医療提供体制の充実については、二次医療圏ごとの医療機能の充足を表す指標として、診療科等の充足度を用いることが可能であると考えられた。また医療機器の充足度については、他の要因との関連を分析し、機器の設置が外来患者数と関連することが示され、医療設備を充実する政策が病院間の競争や医療費へも関連することが示唆された。
結論
厚生労働省の実績評価書における具体的な問題点ならびに改善策を明らかにすることができた。
公開日・更新日
公開日
2006-04-14
更新日
-