慢性期入院医療における包括的評価指標の開発

文献情報

文献番号
200500003A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性期入院医療における包括的評価指標の開発
課題番号
H15-政策-018
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 泰(国際医療福祉大学医療福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 大内 東(北海道大学工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
2,233,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今回の研究の目的は、亜急性(回復期)の入院医療の包括的評価指標の開発することである。
3年目の研究目的は、
(1)2年目に行なった亜急性病床の全国調査(31病院、2720症例)のデータを更に解析し、
   (ⅰ)亜急性病床で寝たきり度の回復が期待できる患者の特性を明らかにする
   (ⅱ)亜急性病床の入院の大半を占める「骨折」と「脳血管疾患」の特性を明らかにする
(2)2年目の調査に用いた亜急性病床入院患者のケースミックス区分を、定量的データ(入院日数、
   出来高換算の医療費)を用いて検証する
ことである。
研究方法
 上記(1)の目的に関しては、2年目のデータを更に解析した。
 上記(2)に関しては、熊本市の亜急性病床と回復期リハビリテーション病棟を有する2病院を調査対象病院とし、平成17年に入院と退院を終了した患者から500例を抽出した。オーダリングシステムを介して対象患者の診療日ごとの診療内容(診療単価と回数)に関する情報を紙で打ち出し、その情報を手入力した。また対象患者の入退院情報やケースミックス区分などの情報を病棟で判定・記入を行なった。
結果と考察
 また2年度の調査データを用い、亜急性病床で寝たきり度の回復が期待できるのは、骨折系疾患や
整形系疾患で入院し、ある程度長期間リハビリを実施指定患者であること(研究1)、骨折は高齢の
女性に多いこと、脳血管系疾患は男性に多く、疾患像や経過が多彩なことを確かめた(研究2)。
 今回開発した亜急性・回復期のケースミックス区分は、患者像を把握する区分としては、有用であることを2年目の調査で確かめた。今回のケースミックス区分を用いて入院期間を予測したところ、R2が 0.296であり有用であると思われた。一方、診療報酬の包括部分医療費(入院費+検査処置費)を予測するモデルとしては、R2= 0.017であり、医療資源消費モデルとしては、有用とは言えない結果となった。(研究3)

結論
 亜急性病床で寝たきり度の回復が期待できるのは、骨折系疾患や整形系疾患で入院し、ある程度長期間リハビリを実施した患者である。骨折は高齢の女性に多く、脳血管系疾患は男性に多く、疾患像や経過が多彩である。
 今回開発した、亜急性・回復期のケースミックス区分は、患者像を把握することと入院期間を予測するモデルとしては有用であると思われるが、診療報酬の包括部分医療費(入院費+検査処置費)を予測するモデルとしては有用とは言えない。

公開日・更新日

公開日
2006-04-27
更新日
-

文献情報

文献番号
200500003B
報告書区分
総合
研究課題名
慢性期入院医療における包括的評価指標の開発
課題番号
H15-政策-018
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 泰(国際医療福祉大学医療福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 大河内二郎(産業医科大学 公衆衛生学教室)
  • 大内 東(北海道大学 工学部)
  • 松田 晋哉(産業医科大学 公衆衛生学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 当初は、ICFをベースにした急性期以降の入院患者状態を示す包括的な指標の開発を目指した。しかし1年目も研究でICFの再現性が低く指標に用いることが難しいこと、療養型病床で医療区分*ADL区分による患者区分が診療報酬で使用されるようになったことを受け、亜急性や回復期の入院患者のケースミックス区分の開発を最終目的とした。
研究方法
 1年目は、ICFの再現性を調べるために761人の高齢者に対して二人の評価書が別々にICFの237項目の評価を行い、再現性を調べた。
 2年目には、亜急性病床に入院している患者のケースミックス区分(案)を作成し、31病院、2720症例で亜急性病床の実態把握のための全国調査を行なった。
 3年目は、熊本市の亜急性病床と回復期リハビリテーション病棟を有する2病院を調査対象病院とし、平成17年に入院と退院を終了した患者から500例を抽出した。オーダリングシステムを介して対象患者の診療日ごとの診療内容(診療単価と回数)に関する情報を紙で打ち出し、その情報を手入力した。また対象患者の入退院情報やケースミックス区分などの情報を病棟で判定・記入を行なった。
結果と考察
 1年目の研究で、高齢者ケアの評価指標としてのICFの再現性が乏しく(Kappa値が低く)、指標としての使用に耐えないということが明らかになった。
 2年目の研究で、亜急性病床の以下の実態を明らかにした。(1)自院一般病床からの転床が94%。(2)在宅復帰率は合計87%。(3)脳梗塞、脳出血、大腿骨頸部骨折、その他の骨折、整形外科疾患が多い。(4)患者のケースミックス リハ目的入院70%、病状不安定は15%、在宅等調整入院は14%(5)リハ施行は78%。(7)寝たきり度が回復しているケースが多い。
 3年目の研究で、ケースミックス区分を用いて入院期間を予測したところ、R2が 0.296であり有用であると思われた。一方、診療報酬の包括部分医療費(入院費+検査処置費)を予測するモデルとしては、R2= 0.017であり、医療資源消費モデルとしては、有用とは言えない結果となった。
結論
 今回開発した、亜急性・回復期のケースミックス区分は、患者像を把握することと入院期間を予測するモデルとしては有用であると思われるが、診療報酬の包括部分医療費(入院費+検査処置費)を予測するモデルとしては有用とは言えない。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
評価指標としてのICF(国際生活機能分類)の再現性は低く、調査や施設での評価指標としての使用が難しいことを明らかにした。平成16年度診療報酬改定で新設された亜急性期入院医学管理料を算定している病院の全国調査を実施し、在宅復帰率は94%と高率、入院目的や病名などで回復期リハビリテーション病棟と大きな差がみられない等の亜急性病床の実態を明らかにした。亜急性病床で寝たきり度の回復が期待できるのは、骨折系疾患や整形系疾患で入院し、ある程度長期間リハビリを実施した患者であることなどを明らかにした。
臨床的観点からの成果
特に、なし
ガイドライン等の開発
3年目の当初の予定であった磁気レセプトを用いたデータを用いた情報収集による複数病院の調査は
高橋が委員長をつとめる「磁気レセプトを用いた診療内容分析方法の開発に関する調査研究」(国保
中央会)に引き継がれる形となり、当初の予定よりも大規模な形で、磁気レセプトを用いた診療内容
に関するデータの収集と解析が進行中である。
その他行政的観点からの成果
亜急性病床を担当する保険局医療課の担当補佐より、平成18年度の診療報酬改定のための資料請求があった。(平成18年度の診療報酬改定では、亜急性病床に関する変更は行なわれなかった。)
その他のインパクト
調査協力を依頼した全日本病院協議会に「亜急性病床に関する調査報告書」を提出、その内容を全日本病院協議会のホームページに掲載され、またその概要を全日病ニュースに紹介される。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
Okochi J, Takahashi T Health measurement using the ICF: Health and Quality of Life Outcome 2005
その他論文(和文)
1件
亜急性病床の現状と今後のあるべき姿 日経ヘルスケア 特別寄稿(2005年5月15日号)
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
高齢者ケアの指標としてのICFの評価(病院管理学会2004) 亜急性病床に現状調査(病院管理学科2005)
学会発表(国際学会等)
1件
Validity and Reliability of the ICF  in the long-term care settings (PCSE 2004)
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-