建築物における環境衛生管理に関する研究

文献情報

文献番号
200401388A
報告書区分
総括
研究課題名
建築物における環境衛生管理に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
財団法人 ビル管理教育センター((財)ビル管理教育センター)
研究分担者(所属機関)
  • 池田耕一(国立保健医療科学院建築衛生部)
  • 紀谷文樹(神奈川大学工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特定建築物におけるエアロゾル及び化学物質の適正な評価方法等を検討し、給水用防錆剤を用いた適切な維持管理のあり方の検討を行うとともに、循環式浴槽の循環系内に生成されるバイオフィルムの除去方法等について検討した。
研究方法
室内エアロゾル及び化学物質調査は、5都市(札幌、東京、愛知、大阪、福岡)の特定建築物で粒子状物質及びガス状物質の実測を行った。粒子状物質測定は、空調時の質量濃度と微粒子の個数濃度測定を行った。ガス状物質測定は、アクティブ法及びパッシブ法により調査を実施した。なお、給水用防錆剤については、特定建築物の防錆剤使用や行政指導の実態を把握するため、全国127の自治体の届出状況調査と防錆剤使用の特定建築物を対象に使用実態を調査し、現状把握を行い、防錆剤使用にあたっての必要事項や注意点等を取りまとめた。循環式浴槽では、使用中の循環式浴槽の循環系の生物膜付着状態を内視鏡観察し、化学的洗浄による洗浄効果の検証等を行った。
結果と考察
粒子状物質濃度は空調時・非空調時とも質量濃度で基準値を満たしていた。個数濃度測定では、空調の稼動状態により粒径の大きい粒子で変動が大きかった。重量濃度と個数濃度に相関は見られなかった。ガス状物質も、空調時は非常に低く、空調停止時の濃度上昇傾向が見られた。パッシブ法はアクティブ法より若干高いが、濃度推移は一致していた。ガス状物質の濃度は、アルデヒド類で指針値以上のものが数件あった。地域差は見られなかった。防錆剤使用にあたっての自治体への届出は、必要事項を管理要領項目としている所が多かったが、届出義務がない自治体や管理要領以外の項目を設けている自治体もあり、防錆剤に対する取組に差が見られた。また、使用にあたっては、半恒久的使用や濃度検査の未実施等、管理責任者が制度を理解しておらず、防錆剤の適正使用が普及されていないことが窺えた。循環式浴槽のバイオフィルムには、レジオネラ属菌や大腸菌群等の各種細菌が共存していた。また、循環系配管内の内視鏡観察より、化学洗浄後1年経過した管理形態が理想的な施設でもバイオフィルムの生成が確認された。
結論
給水用防錆剤管理責任者のためのマニュアルを作成し、防錆剤を用いた適正な維持管理のあり方をとりまとめた。次年度は、室内エアロゾル及び化学物質の適正な評価及び検討方法等についてとりまとめるとともに、循環系全体の洗浄は1回/年以上の定期的な化学洗浄が望ましいと考え、追跡調査を実施する。

公開日・更新日

公開日
2005-07-19
更新日
-