地理情報システムを用いた水道原水の保全に関する研究

文献情報

文献番号
200401331A
報告書区分
総括
研究課題名
地理情報システムを用いた水道原水の保全に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
国包 章一(国立保健医療科学院 水道工学部)
研究分担者(所属機関)
  • 津野 洋(京都大学大学院 工学研究科)
  • 森 一晃((社)海外環境協力センター 企画部)
  • 伊藤 雅喜(国立保健医療科学院 水道工学部)
  • 秋葉 道宏(国立保健医療科学院 水道工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
8,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 地理情報システム(GIS)を水道原水保全のための流域水環境情報の把握や、原水保全計画の策定に活用する際の技術上の課題を整理するとともに、特定の水域環境についてケーススタディーを実施し、水道原水保全施策支援のための手法を検討する。
研究方法
 水道原水の短期的な汚染リスクに対するGISの有効性を明らかにするため、水質汚染事故時における危機管理へのGISの適用、及び、GISを活用した水系感染症リスク評価技術の開発につき検討した。このうち前者では、情報の整理とその作成方法の検討、支援機能の検討及びケーススタディーを行った。また、後者では、特に感染性微生物による感染被害の推定に注目し、シミュレーション技術を応用した研究を実施した。
結果と考察
 GISとして汎用的に整備されている空間検索、最短距離検索及びネットワーク解析の各種機能解析が、水質汚染事故時の迅速で適切な対応を可能にすることが明らかとなった。GISと併せて汎用的なデータベースソフトを用いることにより、水質汚染事故記録を管理し、必要に応じて過去の対応策等を参照・活用して、類似の水質汚染事故に対する対応策の検討支援を図ることも可能であることが示された。また、水質汚染事故データベースに画像や音声を記録するなど、マルチメディアで対応することによって、情報の多様化が図れ、記録を把握しやすいものとなることが示された。しかしながら、現状においては、正確な河川流速が把握できないため、汚染物質の流下時間を精度良く算定することが困難であることが、今後の課題として確認された。また、マルチエージェントと呼ばれるシミュレーション技術を適用し、ヒトの交流に伴う集団から集団への感染症の拡散を評価する技術のプロトタイプを作成した。プロトタイプではヒトの移動に伴い感染症が拡散していく状況が再現され、本技術の適用性が示された。
結論
 GISは、水道原水水質の中長期的な将来予測や原水保全計画の策定だけでなく、水道原水の水質汚染事故など短期的な汚染リスクへの対応に際しても、有力な支援ツールとして活用することができる。本研究では、実例を通してその具体的手法を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2005-06-15
更新日
-

文献情報

文献番号
200401331B
報告書区分
総合
研究課題名
地理情報システムを用いた水道原水の保全に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
国包 章一(国立保健医療科学院 水道工学部)
研究分担者(所属機関)
  • 津野 洋(京都大学大学院 工学研究科)
  • 森 一晃((社)海外環境協力センター 企画部)
  • 伊藤 雅喜(国立保健医療科学院 水道工学部)
  • 秋葉 道宏(国立保健医療科学院 水道工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 地理情報システム(GIS)を水道原水保全のための流域水環境情報の把握や、原水保全計画の策定に活用する際の技術上の課題を整理するとともに、特定の水域環境についてケーススタディーを実施し、水道原水保全施策支援のための手法を検討する。
研究方法
 GISを用いた中長期的な観点からの水道原水保全に必要な流域環境情報につき整理・分析し、求められる解析手法・付加価値機能につき検討した。このほか、短期的な水質汚染リスクへの対応の観点から、原水水質汚染事故時における危機管理へのGISの適用手法についても検討した。これらにおいては、ケーススタディーも併せて行った。このほか、GISを活用した水系感染症リスク評価技術の開発につき検討し、感染性微生物による感染被害の推定に新たなシミュレーション技術を応用した研究を実施した。
結果と考察
 中長期的な観点から水道原水保全のために必要とされる流域環境の属性情報の調査と分析を行い、既に整備され汎用的な利用が可能な国勢調査地域メッシュ統計などの基礎的な統計データについて、その種類、所在及び管理形態を確認するとともに、GISの利用目的に応じた最適なメッシュ分割を決定する必要があることなどを明らかにした。水道原水の水質汚染事故など短期的な汚染リスクへのGISの適用に関しては、水道事業が取り得るリスク対応技術を検討し、事故発生現場の特定、汚染源の特定、水道取水地点までの距離の算定、影響範囲の特定及び記録の作成に必要な機能を整理した。これらと並行して荒川上流域を対象にGISを作成し、水道水源への各種汚濁源の影響の程度を予測するケーススタディーを行って、その有効性を確認するとともに技術上の課題を明らかにした。水系感染症リスク評価に関する研究では、マルチエージェントと呼ばれるシミュレーション技術を適用し、ヒトの交流に伴う集団から集団への感染症の拡散を評価する技術のプロトタイプを作成した。プロトタイプではヒトの移動に伴い感染症が拡散していく状況が再現され、本技術の適用性が示された。
結論
 GISは、水道原水水質の中長期的な将来予測及び原水保全計画の策定、並びに、水道原水の水質汚染事故など短期的な汚染リスクへの対応に際して、有力な支援ツールとして活用することができる。本研究では、実例を通してその具体的手法を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2005-06-15
更新日
-