健全な水循環を考慮した感染性微生物対策に関する研究

文献情報

文献番号
200401328A
報告書区分
総括
研究課題名
健全な水循環を考慮した感染性微生物対策に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
金子 光美(立命館大学理工学部)
研究分担者(所属機関)
  • 藤原 正弘(財団法人水道技術研究センター)
  • 平田 強(麻生大学環境保健学部)
  • 遠藤 卓郎(国立感染症研究所寄生動物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、クリプトスポリジウム等原虫類による水道水汚染が世界的に問題となっている。このため感染性原虫類に対する抜本的な対策を実施し、国民が安心して利用できる、安全な水道を確保することが急務となっている。
研究方法
1.紫外線による原虫類の不活化
1)クリプトスポリジウムの不活化実験
試料はSCIDマウスを用いて継体培養しているヒト由来株HNJ-1を用い、低圧ランプ及び中圧ランプによる紫外線照射実験を行なった。
2) ジアルジア等の不活化実験
Giardia、赤痢アメーバ、Cyclospora 、Eimeriaを用い、極大波長が254 nm の5 W低圧水銀ランプにて紫外線照射実験を行った。紫外線照射後のEimeria acervulinaを用いたトリ感染実験を行った。

2.凝集沈澱・急速ろ過の運転管理技術の開発
原水にクリプトスポリジウム代替粒子(以下代替粒子)を1000個/mL程度添加し、凝集沈澱・急速ろ過処理をおこない除去性の評価を行った。
結果と考察
1.紫外線による原虫類の不活化
1)クリプトスポリジウムの不活化実験
Iowa株とHNJ-1株の間の紫外線感受性について,中圧紫外線と低圧紫外線で評価した結果、HNJ-1株の紫外線感受性は他に比べて約1.2倍であった。
2) ジアルジア等の不活化実験
2-logのCyclosporaスポロシスト形成の阻止には10 mJ/cm2程度の線量が必要であり、不活化効果は、先のGiardiaシストでの実験に比べて10倍程度強い線量が必要であり、Eimeriaオーシストとほぼ同等であった。
2.凝集沈澱・急速ろ過の運転管理技術の開発
 複層ろ過、再凝集、逆洗水への凝集剤添加によるろ材被覆効果が、ろ過処理水質の改善や捨水時間の短縮手段として大いに期待できることが示唆された。
結論
1.紫外線による原虫類の不活化
紫外線消毒は原虫類の不活化に対して極めて有効な技術であり、また、原虫類は種によって紫外線耐性が異なり、紫外線消毒における線量の選択に注意が必要である。

2.凝集沈澱・急速ろ過の運転管理技術の開発
凝集沈澱処理においては、凝集剤注入率、凝集pH、急速混和池撹拌強度を適切に設定することで、代替粒子の処理性をより向上できることが確認された。また、急速ろ過処理においては凝集剤によるろ材被覆が処理水質の改善や捨水時間の短縮手段として大いに期待できることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-18
更新日
-

文献情報

文献番号
200401328B
報告書区分
総合
研究課題名
健全な水循環を考慮した感染性微生物対策に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
金子 光美(立命館大学理工学部)
研究分担者(所属機関)
  • 藤原 正弘(財団法人水道技術研究センター)
  • 平田 強(麻生大学環境保健学部)
  • 遠藤 卓郎(国立感染症研究所寄生動物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、クリプトスポリジウム等原虫類による水道水汚染が世界的に問題となっている。このような状況の中、感染性原虫類に対する抜本的な対策を実施し、国民が安心して利用できる、安全な水道を確保することが急務となっている。
研究方法
1.紫外線による原虫類の不活化
1)クリプトスポリジウムの不活化実験
試料はSCIDマウスを用いて継体培養しているヒト由来株HNJ-1を用い、低圧ランプ及び中圧ランプによる紫外線照射実験を行なった。
2) ジアルジア等の不活化実験
Giardia、赤痢アメーバ、Cyclospora 、Eimeriaを用い、極大波長が254 nm の5 W低圧水銀ランプにて紫外線照射実験を行った。紫外線照射後のEimeria acervulinaを用いたトリ感染実験を行った。

2.凝集沈澱・急速ろ過の運転管理技術の開発
横浜市水道局西谷浄水場の原水にクリプトスポリジウム代替粒子(以下代替粒子)を1000個/mL程度添加し、凝集沈澱・急速ろ過処理をおこない、除去性の評価を行った。
結果と考察
1.紫外線による原虫類の不活化
1)クリプトスポリジウムの不活化実験
 低圧ランプ及び中圧ランプ照射によって生じたESSは,光回復および暗回復のずれのプロセスでも減少し、一旦喪失した感染力が回復しない。
2) ジアルジア等の不活化実験
赤痢アメーバは、1.0 mJ/cm2では1-log 以上の増殖阻害が認められた。紫外線照射後のEimeria嚢子を用いたトリ感染実験では、4 mJ/cm2で1-log近く、8 mJ/cm2では2-log 程度の不活化効果が観察された
2.凝集沈澱・急速ろ過の運転管理技術の開発
PACに比べ塩化第二鉄と高分子凝集剤を併用した場合に、除去効果の上昇が確認された。
結論
1.紫外線による原虫類の不活化
紫外線消毒は原虫類の不活化に対して極めて有効であり、水道の安全性をより向上させる技術であることが示唆された。また、原虫類は種によって紫外線耐性が異なり、紫外線消毒における線量の選択に注意が必要である。
2.凝集沈澱・急速ろ過の運転管理技術の開発
凝集沈澱処理においては、凝集剤注入率、凝集pH、急速混和池撹拌強度を適切に設定することで、代替粒子の処理性をより向上できることが確認された。また、急速ろ過処理においては、凝集剤によるろ材被覆が、ろ過処理水質の改善や捨水時間を短縮手段として大いに期待できることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-