健康関連指標を用いた健康寿命の都道府県較差の原因に関する研究

文献情報

文献番号
200401301A
報告書区分
総括
研究課題名
健康関連指標を用いた健康寿命の都道府県較差の原因に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
平尾 智広(香川大学 医学部・医療管理学)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(国立保健医療科学院)
  • 渡辺 智之(社会福祉法人仁至会認知症介護研究・研修大府センター)
  • 大西 基喜(青森県上北地方健康福祉こどもセンター保健部)
  • 佐々木 隆一郎(長野県飯田保健所)
  • 崎山 八郎(沖縄県福祉保健部)
  • 等々力 英美(琉球大学 医学部 保健医学講座)
  • 佐藤 敏彦(北里大学 医学部 公衆衛生)
  • 實成 文彦(香川大学 医学部 衛生・公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、時系列要素を含む分析手法を用いることにより、都道府県健康格差の原因を推定することである。特に健康水準に大きな開きがある青森と長野、近年健康長寿が揺らぐ沖縄については重点的に比較を行った。
研究方法
1.生涯疫学理論に基づいた仮説とモデルの検証
・出生コホートの分析
1975年から2000年の都道府県別コホート区間死亡確率(CLSM)を開発し、値の推計と類型化を行った。また全国各歳のコホート生命表を作成し世代別死亡率の時系列変化を比較した。
・寿命延伸寄与の推定
ポラード法により生命表を分解し、47都道府県の性・年齢・傷病別寿命延伸寄与割合の推定を行った。
2.リスク、社会経済要因の分析
出生コホートへのリスクを分析するために、飲酒と自殺との関連、タバコの健康負担、社会経済要因の影響、沖縄を対象とした栄養転換と経済政策の関連性の実証を行った。
3.各県の健康影響要因の分析と比較
青森、長野、沖縄について、健康関連要因の分析、比較を行った。
結果と考察
・出生コホートの分析
都道府県CLSMは、若年層改善型、若年層悪化型、その他に分けられ、男性では青森と沖縄、女性では沖縄が独立群を形成していた。また出生コホートへの負の影響は、昭和一桁、戦中派にみられた。
・平均寿命への寄与の推定
男女とも東北日本海側、信越、北陸、南四国、中南九州地方で寿命延長が大きい傾向にあった。また疾患および年齢階級によって地域格差がみられた。
・リスク、社会経済要因の分析
飲酒と自殺との関連、タバコによる死亡寄与割合を算出した。また沖縄では栄養転換と学童体重の変化が明瞭に観察され、急激な社会経済的変化の影響が示唆された。
・各県の健康への影響要因の分析と比較
3県の比較において健康と生活習慣に差がみられた。長野では健康長寿は昭和40年代後半に始まっており、県民の自立的な活動が健康寿命の延伸に寄与していることが伺えた。沖縄では、肥満をはじめとする健康指標や危険因子の悪化が見受けられ、今後も平均寿命への間接的な影響が予想された。
結論
出生コホートにより健康結果が異なっており、特に戦中、昭和一桁では負の影響を受けていた。この影響は都道府県により異なっており、都道府県格差を生じさせる原因のひとつと考えられた。要因として各時代の社会経済環境、それに伴う生活習慣の変化、当該時点の年齢が影響しており、生涯疫学仮説を実証するものと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-10
更新日
-