地域脳卒中発症登録を利用した脳卒中医療の質の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200401282A
報告書区分
総括
研究課題名
地域脳卒中発症登録を利用した脳卒中医療の質の評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 一夫(秋田県立脳血管研究センター(疫学研究部))
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 重幸(札幌医科大学 内科学第2講座)
  • 小川 彰(岩手医科大学 脳神経外科学講座)
  • 高松 道生(長野県厚生連佐久総合病院 内科)
  • 喜多 義邦(滋賀医科大学 福祉保健医学講座)
  • 万波 俊文(香川大学医学部 人間社会環境医学講座)
  • 瀧下 修一(琉球大学医学部 内科学第3講座)
  • 笠置 文善(財団法人放射線影響研究所 疫学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳卒中情報システム事業の実態を把握して、事業の効率的な運用法を提案することが研究目的である。今年度は、①個人情報保護法下での悉皆性の高い脳卒中発症登録の方法、②登録結果を利用した統計処理ロジックの検討、③応用例として全国市町村自治体ごとの脳卒中発症者数、有病者数の将来予測プログラムの作成とインターネットでの公開にむけたシステムを検討した。
研究方法
①脳卒中発症登録システムの確立
悉皆性の高い脳卒中発症登録では、対象者に対する説明と同意を省略する必要がある。個人情報保護法の下で説明と同意を省略できるのか、倫理的問題を含め検討した。
②登録結果統計処理法の検討
脳卒中発症者数、有病者数の将来推計の方法、地域別の発症率の重み付け、計算結果の評価法を検討した。
③インターネットでの公開
既知の結果から得た脳卒中病型・年齢・性別の発症率、平均余命、さらに全国市町村の年齢別将来推計人口から、市町村別の脳卒中発症者数、有病者数、要介護者数を算出し、インターネットで閲覧できるシステムを作成した。
結果と考察
①脳卒中発症登録システムの確立
1.既存の脳卒中発症登録での検討
秋田県脳卒中発症登録では、秋田県個人情報保護条例に基づく個人情報保護審査会で、疫学目的の脳卒中発症登録では登録対象者への説明と同意を得ることを省略して登録することにした。
2.新しい登録の可能
高松は北佐久地域、瀧下は宮古島で、地元医師会の協力を得て脳卒中発症登録のための体制を作った。対象者への説明と同意を省略した登録を来年度開始する予定である。

②登録結果統計処理法の検討
秋田県の登録データから病型・年齢・性別の生存率を10年間求めた。その後の生存は日本人の年齢・性別平均余命を参考にして、脳卒中発症者の年齢別平均余命を推測した。任意の観察集団の人口構成から、脳卒中発症者数、有病者数、要介護者数を推計した。

③インターネットでの公開
②の結果は、2005年3月からインターネットで公開した(http://www.stroke-project.com)。都道府県名と市町村名を選択すると、2030年までの将来推計人口と脳卒中有病者数と要介護者数が表示される。(特許出願を検討中)

悉皆性の高い脳卒中発症登録は、科学的判断に基づいて脳卒中の発症予防を行うために必要である。さらに、登録のない任意の地域で人口構成からの脳卒中有病者数や要介護者数の推計ができることを示した。
結論
脳卒中情報システム事業では発症登録を中心として公衆衛生学的解析によって地域に存在する脳卒中発症危険因子の定量的解析を目指すべきである。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-