文献情報
文献番号
200401281A
報告書区分
総括
研究課題名
アンジオテンシン変換酵素遺伝子多型と脳・心血管病の関係に関する疫学調査:久山町研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
清原 裕(九州大学病院(第二内科))
研究分担者(所属機関)
- 飯田 三雄(九州大学大学院医学研究院病態機能内科学)
- 居石 克夫(九州大学大学院医学研究院病理病態学)
- 恒吉 正澄(九州大学大学院医学研究院形態機能病理学)
- 中別府 雄作(九州大学生体防御医学研究所個体機能制御学部門脳機能制御学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
6,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
福岡県久山町の地域住民の連続剖検例において,アンジオテンシン変換酵素(ACE)遺伝子多型の腎糸球体硬化,腎細動脈硝子化,腎動脈硬化に及ぼす影響について検討した.
研究方法
1962年1月からの久山町における死亡例1,742名のうち,80%に当たる1,394名を剖検した.腎組織が保存されていない者と死亡直前の健診成績が存在しない者を除外した結果,839名を本研究の対象とした.この症例について糸球体硬化度,細小動脈硝子化度,細動脈硬化度(Wall-lumen ratio)を判定した.DNAは,剖検時に採取されパラフィン固定された主要組織から抽出した.Evansらの方法で3種類のプライマ-を用いてPCR法を実施し,遺伝子多型(II型,ID型,DD型)を判定した.最終的に,対象者839名のうち817名(97.4%)でACE多型を判定できた.
結果と考察
DD型に比べ,ID型およびII型で糸球体硬化の頻度が有意に高かった(DD型: 14.2%,ID型:23.4%,II型: 23.6%).ACE遺伝子多型と細小動脈硝子化の頻度との間には明らかな関連はみられなかった.細動脈硬化の頻度はDD型に比べID型およびII型で増加する傾向にあったが,有意差は無かった.これらの関係は,ロジスティック回帰モデルを用いた多変量解析で他の危険因子の影響を調整しても変わりなかった.
ACE遺伝子多型と脳卒中や虚血性心疾患など心血管病との関係を検討した報告は多数みられるが,未だに結論はでていない.ACE D対立遺伝子が頚動脈の内膜肥厚の有意なリスクであるとしたメタ解析の報告がある。しかし,剖検症例における大動脈硬化や冠状動脈硬化とACE遺伝子多型との関係をみた報告では,ACE遺伝子多型は動脈硬化病変の程度と関連は無かった.一方,ACE I対立遺伝子はアルツハイマー病,高血圧,深部静脈血栓症の危険因子になるという報告がある.また,2型糖尿病患者の尿中アルブミン量や血漿中のプラスミノーゲン値の上昇と有意な関連が見られたという報告も見られる.しかし,ACE遺伝子II+ID型と動脈硬化との関連についての機序は今のところ不明であり,今後の検討課題として残されている.
ACE遺伝子多型と脳卒中や虚血性心疾患など心血管病との関係を検討した報告は多数みられるが,未だに結論はでていない.ACE D対立遺伝子が頚動脈の内膜肥厚の有意なリスクであるとしたメタ解析の報告がある。しかし,剖検症例における大動脈硬化や冠状動脈硬化とACE遺伝子多型との関係をみた報告では,ACE遺伝子多型は動脈硬化病変の程度と関連は無かった.一方,ACE I対立遺伝子はアルツハイマー病,高血圧,深部静脈血栓症の危険因子になるという報告がある.また,2型糖尿病患者の尿中アルブミン量や血漿中のプラスミノーゲン値の上昇と有意な関連が見られたという報告も見られる.しかし,ACE遺伝子II+ID型と動脈硬化との関連についての機序は今のところ不明であり,今後の検討課題として残されている.
結論
久山町住民の剖検例では,DD型に比べII+ID型は腎糸球体硬化の有意な危険因子であった.
公開日・更新日
公開日
2005-04-18
更新日
-