文献情報
文献番号
200401280A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣病予防対策に関わる新規遺伝子の検索と機能解析
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
斯波 真理子(国立循環器病センター 研究所バイオサイエンス部)
研究分担者(所属機関)
- 横山 信治(名古屋市立大学大学院医学系研究科 代謝細胞生化学)
- 友池 仁暢(国立循環器病センター)
- 伊藤 恒賢(山形大学医学部附属動物実験施設)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
動脈硬化性疾患の危険因子であるリポ蛋白質異常の主なものは、高LDL血症、高中性脂肪血症、低HDL血症である。我々は、これらの原因となる新規遺伝子の探索と機能解析を、それぞれのモデル動物や培養細胞を用いて行い、これらの脂質代謝異常の機序を広く解明し、生活習慣病の予防および治療の原理を明らかにするとともに、得られた知見をもとに新しい治療法を開発することを目的とする。
研究方法
高LDL血症については、LDL受容体のアダプター蛋白と言われているARH蛋白質の発現調節機構を調べ、さらにARHの発現とLDL受容体の機能との関連を調べた。高中性脂肪血症については、WHHLウサギより分離した高度の高中性脂肪血症を呈するライン(TGH)と軽度のライン(TGL)の脂肪組織における発現蛋白質を、プロテオームの技術を用いて網羅的に解析した。低HDL血症については、ABCA1蛋白質の活性制御機構を検討し、さらにABCA1とABCA7によるHDL新生反応を検討した。
結果と考察
ARH蛋白質は、皮膚線維芽細胞、血管平滑筋細胞、血管内皮細胞、THP-1細胞に発現を認め、細胞内コレステロール量、細胞増殖刺激、マクロファージの分化などによっても、ARHの発現量に変化を認めなかった。ARH蛋白を過剰発現した場合にも、LDL受容体の細胞内取り込み能に影響はなかった。したがって、培養細胞の状態では、ARHの発現は一定であり、また、発現量によってLDL受容体の機能は変わらないことがわかった。脂肪組織より抽出した蛋白の二次元電気泳動より、TGHにおいて多量に発現している蛋白をMS-MSを用いて解析し、20 alpha-dehydrogenase、Annexin A2、Peroxiredoxin 2の3個を同定した。今後、これらの蛋白の病態への関わりを調べる予定である。ABCA1は、ACAT阻害剤、ACAT欠損により発現増加を示すこと、抗高脂血剤のフィブラートによりLXR依存的に発現増加することがわかった。ABCA1により大型と小型のHDL新生が促されたが、ABCA7によっては、小型のHDLのみが産生された。血漿アミロイド蛋白質A(SAA)によってもHDLが新生されることがわかった。
結論
高脂血症に関係するARH、ABCA1および高中性脂肪血症ウサギの解析を行い、新しい知見を得た。これらをもとに、新しい治療法の開発が可能になった。
公開日・更新日
公開日
2005-04-11
更新日
-