分子疫学に基づいた高血圧・糖尿病の予防的介入

文献情報

文献番号
200401278A
報告書区分
総括
研究課題名
分子疫学に基づいた高血圧・糖尿病の予防的介入
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
今井 潤(東北大学大学院 薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 岡 芳知(東北大学大学院 医学系研究科)
  • 荻原 俊男(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 檜垣 實男(愛媛大学 医学部)
  • 松原 洋一(東北大学大学院 医学系研究科)
  • 大久保 孝義(東北大学大学院 薬学研究科)
  • 戸恒 和人(東北大学大学院 薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、岩手県大迫町におけるコホート研究である大迫研究において実施される。大迫研究では、24時間血圧・家庭血圧に基づく詳細な臨床像および豊富な中間型表現型として利用可能な臨床情報および嗜好・運動・栄養等の詳細な検討が実施されているのみならず、前向きに追跡研究が行えるという特徴がある。本研究は、この大迫研究に遺伝子解析技術を導入することにより、疾患感受性遺伝子を持つ保因者に対する一次ケア手法として、各遺伝子タイプに応じたオーダーメイド生活指導を確立することを目的としている。
研究方法
大迫町では、1986年以来これまで述べ10000人が家庭血圧を、4000人が24時間自由行動下血圧を測定している。また、近年の糖尿病増加を考慮に入れ、1997より延べ1000人に75g経口糖負荷試験(OGTT)による糖尿病検診を実施している。2000名よりDNA検体を採取している。また、生活習慣全般についての詳細なアンケート調査を4000名に実施している。上記の遺伝要因・環境要因のデータをもとに、高血圧・糖尿病と関連する遺伝要因および環境要因に関する検討を行った。
結果と考察
1) 味覚細胞うまみ受容体TAS1R2遺伝子・ウェルナー症候群WRN遺伝子が糖尿病と、アディポネクチン遺伝子・肝細胞増殖因子遺伝子・サイアザイド感受性NaCl共輸送体遺伝子が高血圧と、それぞれ関連していることを明らかにした。 また、Urotensin II遺伝子が高血圧・糖尿病の両者と関連していることを明らかにした。 2) 75g経口糖負荷試験(OGTT)2時間後の血漿インスリン値 (IRI)が高血圧・糖尿病両者のリスクに関連していることを明らかにした。 3) 24時間血圧・家庭血圧を用いて、他の循環器疾患危険因子の相互作用、および新たな危険因子となる血圧表現型を同定した。 4) イムノクロマトグラフィー試験紙を用いて簡便に遺伝子型が判定できる遺伝子診断法を開発した。
結論
今後、本研究における詳細な表現型に基づき、上記の遺伝要因・環境要因の相互作用、および効果的な遺伝子診断・予防的介入方法に関する検討を行うことにより、各個人のライフスタイル・遺伝的要因に応じたよりきめ細かく、かつ無駄のない高血圧・糖尿病の予防対策を可能とするような知見が得られることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-