24時間社会における睡眠不足・睡眠障害による事故および健康被害の実態と根拠に基づく予防法開発に関する研究

文献情報

文献番号
200401277A
報告書区分
総括
研究課題名
24時間社会における睡眠不足・睡眠障害による事故および健康被害の実態と根拠に基づく予防法開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
内山 真(厚生労働省国立精神・神経センター精神保健研究所精神生理部)
研究分担者(所属機関)
  • 大井田 隆(日本大学医学部公衆衛生学教室)
  • 清水徹男(秋田大学医学部精神科学講座)
  • 成井浩司(虎ノ門病院呼吸器内科)
  • 伊藤 洋(東京慈恵会医科大学精神医学講座)
  • 山田尚登(北津島病院)
  • 塩見利明(愛知医科大学医学部内科学睡眠医療センター)
  • 井上雄一(神経研究所付属代々木睡眠クリニック)
  • 千葉 茂(旭川医科大学医学部精神医学教室)
  • 内村直尚(久留米大学医学部神経精神科)
  • 田ヶ谷浩邦(国立精神・神経センター精神保健研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
社会の24時間化が進む先進国において、交通事故の30%以上、地域住民にまで被害を及ぼす産業事故や重大な医療事故の50%以上が眠気に関連したヒューマンエラーに基づくものであると報告されている。本研究課題の目的は、睡眠に関する健康問題を解決することで日常生活におけるヒューマンエラーおよび事故の防止を実現することである。
研究方法
一般人口、職域などにおける疫学調査を行って国民のにおける睡眠の問題を明確化し、各種睡眠障害患者を対象にヒューマンエラーおよび事故の発生について検討した。さらに、健常者を対象に実験を行い、日中の眠気出現と睡眠不足による遂行能力低下発現の機序を明らかにした。
結果と考察
成人人口を対象とした調査では、日中の過剰な眠気、睡眠時間不足、主観的睡眠不足の出現頻度は14.9%、28.7%、23.1%で、いずれも若年群で高かった。地方公務員を対象とした研究では、朝型ほど抑うつが少なく夕型ほど抑うつが強くなることが明らかになった。夜勤看護師を対象とした調査において、日中の過剰な眠気と医療機器操作ミスとの関連が示された。医師を対象とした調査では、平日の睡眠不足が64%と高率にみられたが、これにはタイプA行動パターン者が長時間勤務しがちであることが関連していた。5時間の時差飛行後の精神作業能力の回復には到着第4日かかることが実験的に明らかにされた。睡眠呼吸障害クリニックを受診した睡眠時無呼吸症候群患者では居眠り運転既往者は、一般人口に比べて有意に高く、重症であるほど事故頻度が高かったが、治療を行うと居眠り事故は減少することがわかった。軽症過眠症では健常対照群と同様、眠気が午睡ゾーンで増大するという日内変動が認められたが、重症群では日内変動は消失していた。原発性過眠症では、事故既往者の割合が高いことが明らかになった。ベンゾジアゼピン系睡眠薬による遂行機能低下機序に放熱反応が関与している可能性があることが示唆された。断眠実験中に単純反応時間は悪化するが、連想能力は必ずしもこれと並行しないことがわかった。
結論
本研究課題の推進により、わが国の睡眠の問題に関する事故などの経済損失を減少させるとともに、平成13年度の道路交通法施行令改定において新たに加わった著しい眠気をもたらす睡眠障害による事故予防の指針策定にも寄与すると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200401277B
報告書区分
総合
研究課題名
24時間社会における睡眠不足・睡眠障害による事故および健康被害の実態と根拠に基づく予防法開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
内山 真(厚生労働省国立精神・神経センター精神保健研究所精神生理部)
研究分担者(所属機関)
  • 大井田 隆(日本大学医学部公衆衛生学教室)
  • 清水徹男(秋田大学医学部精神科学講座)
  • 成井浩司(虎ノ門病院呼吸器内科)
  • 伊藤 洋(東京慈恵会医科大学精神医学講座)
  • 山田尚登(北津島病院)
  • 塩見利明(愛知医科大学医学部内科学睡眠医療センター)
  • 井上雄一(神経研究所付属代々木睡眠クリニック)
  • 千葉 茂(旭川医科大学医学部精神医学教室)
  • 内村直尚(久留米大学医学部神経精神科)
  • 田ヶ谷浩邦(国立精神・神経センター精神保健研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
社会の24時間化が進む先進国において、交通事故の30%以上、地域住民にまで被害を及ぼす産業事故や重大な医療事故の50%以上が眠気に関連したヒューマンエラーに基づくものであると報告されている。本研究課題の目的は、睡眠に関する健康問題を解決することで日常生活におけるヒューマンエラーおよび事故の防止を実現することである。
研究方法
一般人口、職域などにおける疫学調査を行って国民のにおける睡眠の問題を明確化し、各種睡眠障害患者を対象にヒューマンエラーおよび事故の発生について検討した。さらに、健常者を対象に実験を行い、日中の眠気出現と睡眠不足による遂行能力低下発現の機序を明らかにした。
結果と考察
一般成人において睡眠不足が約25%にみられ、日中の過剰な眠気が15%がみられ、若年者で頻度が高かった。夜勤の少ない職種では、朝型の人がより職場適応が良いことがわかった。看護師や医師など夜勤や不規則勤務を伴う職種では、睡眠不足や日中の過剰な眠気が倍以上に高く、これが職業的なミスと関連している可能性が示された。健常人の時差地域飛行において、精神作業能力の回復にはこれまでに考えられていた以上に時間がかかることが明らかになった。睡眠障害患者を対象とした調査では、日中の過剰な眠気を示す患者においては、実際に居眠り運転既往者が多く、事故経験者も多かった。睡眠時無呼吸症候群では、事故頻度が重症度と関係しており、治療により事故の危険性は減少することがわかった。睡眠時無呼吸症候群の他に事故と関連すると考えられる日中の過剰な眠気を示す睡眠障害としては、ナルコレプシーなどの原発性過眠症とともに睡眠不足症候群についても十分な注意が必要であることがわかった。実験研究から、不適切な睡眠薬使用も遂行能力低下からヒューマンエラーによる事故と関連する可能性が示唆された。さらに、実験的研究において睡眠薬使用や断眠による遂行力低下に関して、客観指標で明らかな低下がみられる場合においても遂行力低下の自覚がみられないことが明らかになった。
結論
本研究課題の推進により、わが国の睡眠の問題に関する事故などの経済損失を減少させるとともに、平成13年度の道路交通法施行令改定において新たに加わった著しい眠気をもたらす睡眠障害による事故予防の指針策定にも寄与すると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-