行動科学に基づく簡便な生活習慣改善プログラムの開発と効果の検討

文献情報

文献番号
200401270A
報告書区分
総括
研究課題名
行動科学に基づく簡便な生活習慣改善プログラムの開発と効果の検討
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
足達 淑子(財団法人 日本予防医学協会(本部))
研究分担者(所属機関)
  • 川上 憲人(岡山大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 山上 敏子(久留米大学 文学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
2,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 行動療法を情報技術(IT)や自己マニュアル等に構築し、簡便で効果のある生活習慣改善の指導法を開発し提案すること。
研究方法
 3年間で8種の簡便な生活習慣改善(研究1)、適正飲酒(研究2)、睡眠習慣改善(研究3)の介入法を開発し、その効果を評価した。
 平成14-15年度は、研究1では職域でメニュー方式の通信プログラム(以下通信指導プログラム)の長期効果の確認、体重・睡眠コースにおけるセルフモニタリングの長期効果の検討、保健指導者教育の検討、地域介入による効果の検討を行い、習慣改善効果と受け入れのよさを報告した。研究2では楽しい飲酒を増やすプログラムを作成試行した後、無作為介入試験(RCT)を開始し失敗や暴飲の減少を報告した。研究3では睡眠プログラムの効果を職域・地域、医学教育で確認し、職域・地域で横断調査を実施して自己学習用教材を作成した。
 最終年度(平成16年度)は、研究1では通信指導プログラムのインターネット版(WEBプログラム)を開発し、それを職域で試行して技術的、倫理的問題と習慣改善効果、実用化にむけての課題を検討した。研究2ではRCTを8事業所121名に拡大し効果を検討し、さらに通信指導プログラムの飲酒コースへの過去5年間の参加者180名を評価した。研究3では指導者教育法を作成し保健指導者26名に実施するとともに、4ヶ月児の母親100名に対する質問紙調査を行った。
結果と考察
 研究1のWEBプログラム試行の結果、その参加者は269名と紙版の1/3で同等の習慣改善効果があり、管理運営上支障なく労力が大幅に省力されたことから実用化の価値があると考えた。
 研究2のプログラムは失敗飲酒の比率が減少し、その有効性が顕著な集団特性が推察された。また通信指導プログラムでも飲酒行動が改善し飲酒量が減少したことから、本接近法の標準化が可能と考えた。
 研究3では保健指導者23名で知識の向上、意欲の喚起、睡眠と習慣改善等を認めた。4ヶ月児の母親は睡眠と健康上の問題が多く、睡眠と健康、育児上の困難や疲労とに関係があることから、睡眠改善指導は育児支援につながると考えた。
結論
 本研究の自発的な習慣改善を支援する介入法は多数集団への接近が可能で、特に通信指導のWEBプログラムは、効率的な指導ツールとして提案ができた。飲酒と睡眠についてもWEB化の実現可能性は高く、その有用性は高い。

公開日・更新日

公開日
2006-01-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200401270B
報告書区分
総合
研究課題名
行動科学に基づく簡便な生活習慣改善プログラムの開発と効果の検討
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
足達 淑子(財団法人 日本予防医学協会(本部))
研究分担者(所属機関)
  • 川上 憲人(岡山大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 山上 敏子(久留米大学 文学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 行動科学と情報技術(IT)やマニュアル活用による、簡便でエビデンスのある生活習慣改善法の開発と提案。食事、運動、減量、睡眠、飲酒、喫煙、休養、歯磨きのうち、飲酒と睡眠は別個分担とした。
研究方法
 研究1(足達)は8種の通信指導、研究2(川上)は適正飲酒、研究3は(田中・山上)は睡眠習慣改善を主題とした。いずれも自発的な習慣改善努力を援助し促進する行動的接近法を用い、マニュアル化やWEB化ができるよう改良しながら介入効果を検討した。
 研究1では8種の習慣から取り組む習慣を選び自己評価と目標行動選択、セルフモニタリングを1ヵ月間実施する通信プログラム(通信指導プログラム)を開発し、初年度は職域での約1000名で1ヵ月後と1年後の効果を確認し、次年度は2地域で住民対象約300名と保健指導者約200名に介入を行い、最終年度はWEBプログラムを作成し職域で希望者約300名に試行し効果や課題を検討した。研究2と3では、最新の研究レビューから独自の教育法を開発した。
 研究2の初年度は「楽しい飲酒」を増やす教育プログラムを作成試行し、次年度から最終年度にかけては無作為化比較試験(RCT)を8事業所の121名に行い、通信指導プログラムの参加者180名で効果を評価した。
 研究3の初年度は睡眠改善プログラムを職域で試行して効果を確認し、次年度は医学生75名と地域住民22名に教育介入した後に自己教育用教材を作成した。最終年度は保健指導者への教育効果を検討するとともに、4ヵ月児の母親を対象に質問票調査を行った。
結果と考察
 研究1では習慣改善の長期効果とプログラムの受け入れの良さ(職域では5年間で全被保険者の1/4をカバーし地域の参加率は50%以上)が明らかとなり、支障なく遂行されたWEBプログラムでは、紙版と同等の習慣改善効果が得られ多大な省力化ができた。
 研究2では失敗飲酒の減少と本プログラムが有効な集団特性が示唆され、通信指導プログラムの効果も明らかとなった。
 研究3からは睡眠と生活習慣との関係、プログラムによる習慣と睡眠の改善が職域・地域で確認され、医学生と保健指導者への教育法も有効であった。また、4ヵ月児の母親は睡眠問題や健康上の問題が多く睡眠と健康や育児上の困難とが関係した。
結論
 行動療法とIT、自己マニュアルや通信を組み合わせることにより、簡便で効果的かつ実際的な生活習慣介入法を提案できた。

公開日・更新日

公開日
2006-01-25
更新日
-