文献情報
文献番号
200401254A
報告書区分
総括
研究課題名
ダイオキシン類の生体毒性発現機構の解析
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山下 敬介(広島大学(大学院医歯薬学総合研究科 解剖学・発生生物学研究室))
研究分担者(所属機関)
- 菅野 雅元(広島大学(大学院医歯薬学総合研究科 免疫学研究室))
- 横崎 恭之(広島大学(大学院医歯薬学総合研究科 公衆衛生学研究室))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
15,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本年度の具体的目的は、1)アリール炭化水素受容体(AhR)欠損マウスの表現型として、骨粗鬆症の有無を検証すること。2)ダイオキシンによって誘発される、胸腺T細胞の細胞死の機序を明確にすること。3)ダイオキシンをはじめとする芳香族炭化水素は、肺気腫、肺線維症の原因となるのではないかと疑われている。これら2疾患の誘発に細胞接着受容体のインテグリンが関与することが明らかにされつつあるので、その基礎的研究を行うことの3つである。
研究方法
1)ダイオキシンは、アリール炭化水素受容体(AhR)を介してその毒性を発現する。AhR受容体欠損マウスの表現型として、骨粗鬆症が見られたので、AhR遺伝子欠損マウスの骨密度を測定した。
2)ダイオキシンは、マウスに投与すると、胸腺のT細胞の分化を抑制し、免疫不全状態を引き起こす。この機序を、分子免疫学的に検討した。
3)オステオポンチンは免疫、炎症の調整因子である。その作用は主に受容体インテグリンを介して発揮されるものと考えられる。インテグリンのスイッチングの機構を検討した。
2)ダイオキシンは、マウスに投与すると、胸腺のT細胞の分化を抑制し、免疫不全状態を引き起こす。この機序を、分子免疫学的に検討した。
3)オステオポンチンは免疫、炎症の調整因子である。その作用は主に受容体インテグリンを介して発揮されるものと考えられる。インテグリンのスイッチングの機構を検討した。
結果と考察
1)AhR遺伝子欠損マウスの脛骨の骨密度を、無処置群、卵巣摘出群で検討したところ、無処置群で、骨密度は低下しているものの、卵巣摘出を行い、エストロゲン欠乏状態にするとさらに、骨密度は低下した。AhR遺伝子欠損マウスの脛骨と、対応する野生型マウスの脛骨の骨密度を比較したが、AhR遺伝子欠損マウスのバッククロスが十分ではなかったために、結論を得ることができなかった。他の研究グループは、AhR遺伝子欠損マウスが低エストロゲン状態を起こし、性周期に異常をきたすことを証明している。
2)ダイオキシンは胸腺のT細胞の分化を抑制し、さらに今までいわれていなかった機序を介してT細胞の細胞死を誘導することが明らかとなった。さらに、骨髄幹細胞にも影響することを明らかにした。
3)オステオポンチンは免疫、炎症の調整因子である。その作用は主に受容体インテグリンを介して発揮されるものと考えられるが複数のインテグリンのうち生体内でどれが 使用されているか不明である。そこで、オステオポンチンの酵素切断により結合するインテグリンが変化することを確かめた。
2)ダイオキシンは胸腺のT細胞の分化を抑制し、さらに今までいわれていなかった機序を介してT細胞の細胞死を誘導することが明らかとなった。さらに、骨髄幹細胞にも影響することを明らかにした。
3)オステオポンチンは免疫、炎症の調整因子である。その作用は主に受容体インテグリンを介して発揮されるものと考えられるが複数のインテグリンのうち生体内でどれが 使用されているか不明である。そこで、オステオポンチンの酵素切断により結合するインテグリンが変化することを確かめた。
結論
1)AhR遺伝子欠損マウスに骨粗鬆症が表現型として見られることを観察したが、完全な証明を得るにはいたらなかった。
2)ダイオキシンが胸腺T細胞の分化を阻害すること、T細胞の細胞死の機構を証明した。
3)細胞接着因子の受容体であるインテグリンについて、基礎的研究を行った。
2)ダイオキシンが胸腺T細胞の分化を阻害すること、T細胞の細胞死の機構を証明した。
3)細胞接着因子の受容体であるインテグリンについて、基礎的研究を行った。
公開日・更新日
公開日
2005-05-23
更新日
-