文献情報
文献番号
200401249A
報告書区分
総括
研究課題名
内分泌かく乱化学物質の生体影響メカニズム(低用量効果・複合効果を含む)に関する総合研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
井上 達(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 関澤 純(徳島大学総合科学部)
- 井藤悦朗(宇部興産(株)環境安全部)
- 松井三郎(京都大学大学院地球環境学堂)
- 杉村芳樹(三重大学医学部)
- 福島昭治(大阪市立大学大学院医学研究科)
- 井口泰泉(自然科学研究機構岡崎統合バイオサイエンスセンター)
- 笹野公伸(東北大学大学院医学系研究科)
- 廣川勝昱(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科老化制御学系)
- 山崎聖美(国立健康・栄養研究所)
- 菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター)
- 粟生修司(九州工業大学大学生命体工学研究科)
- 加藤茂明(東京大学分子細胞生物学研究所分子情報・制御部門)
- イシュワー・パルハー(日本医科大学医学部)
- 五十嵐勝秀(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
68,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、高次生命系への内分泌かく乱化学物質のかく乱作用の背景にある分子機構を、核内受容体へのシグナルネットワークを中軸として、内分泌系、神経系、免疫系への影響メカニズムを新段階に達した知見を踏まえ統一的に研究することにより解明することにある。低用量効果・複合効果については、ホメオステーシスの背景に潜伏する比較的低レベルでの生体影響をも視野に入れた研究を、引き続きプロジェクト研究として行う。
研究方法
プロジェクト課題研究では、1.リスク評価情報収集、2.食物等中の異物受容体結合物の調査、3.エストロジェンの成長初期の前立腺への影響、及び4.低用量発がん、の4課題について、1.と2.は文献検索、3.と4.は実験を行った。また、基盤研究では、生殖・ステロイド代謝部門、免疫部門、神経・行動部門、核内レセプター部門の各部門に分かれて実験を行った。ステロイド研究など3研究については、マイクロアレイ解析による支援を行った。
結果と考察
プロジェクト課題研究では、ビスフェノールA(BPA)関連の文献調査(さしあたり168件)を始め、天然のAhRリガンドの文献調査を行った。また、エストロジェンによる前立腺のゲノム刻印機構及び催奇形性並びに肝発がんプロモーション効果についての実験を行った。
基盤研究では、ダイオキシン受容体シグナルと、女性ホルモン受容体シグナルのクロストーク(交叉)現象や、胎生期及び新生児期におけるDESなどホルモン活性物質の投与によって生ずる不可逆的シグナル伝達機構の発見など、種々の基礎的知見を得た。これら成果は、学術誌を通じて世界に発信された。
基盤研究では、ダイオキシン受容体シグナルと、女性ホルモン受容体シグナルのクロストーク(交叉)現象や、胎生期及び新生児期におけるDESなどホルモン活性物質の投与によって生ずる不可逆的シグナル伝達機構の発見など、種々の基礎的知見を得た。これら成果は、学術誌を通じて世界に発信された。
結論
1.プロジェクト課題研究では、BPAの影響をモデルとした研究を中心に、情報収集活動を行った。
2.基盤研究では、ホルモン受容体の発現調節機序などについての研究を進め、生体反応機構に対する理解が大きく進展した。
低用量作用研究については、免疫系のようにヒトやマウスの細胞レベルではナノモル(nM)レベルでの影響が見られたが、マウスやラットなどの成体レベルでは、変化は観察されていない。他方、グローバルアセスメントでも指摘されたとおり、マウスの新生仔を用いた実験では、系によって不可逆反応としての変化が観察されている。
2.基盤研究では、ホルモン受容体の発現調節機序などについての研究を進め、生体反応機構に対する理解が大きく進展した。
低用量作用研究については、免疫系のようにヒトやマウスの細胞レベルではナノモル(nM)レベルでの影響が見られたが、マウスやラットなどの成体レベルでは、変化は観察されていない。他方、グローバルアセスメントでも指摘されたとおり、マウスの新生仔を用いた実験では、系によって不可逆反応としての変化が観察されている。
公開日・更新日
公開日
2005-05-10
更新日
-